海外BtoBマーケティングにLinkedInを活用すべき6つの理由
従来のBtoBマーケティング施策と言えば、展示会や広告、メールマーケティングなどが主流でしたが、デジタル化が進む近年では、BtoB企業であってもデジタル施策を積極的に取り組む企業が増えています。
その中でも「LinkedIn」を活用したマーケティング戦略は、BtoB企業に親和性が高く、有効なマーケティング施策としてさまざまな企業が取り組み、高く評価されています。
では、なぜ「LinkedIn」なのでしょうか?
企業はどのようにLinkedInを活用しているのでしょうか?
本記事では、BtoB企業がマーケティング施策の一環としてLinkedInを積極的に活用するべき理由を詳しくご紹介します。
目 次
Linkedinとは?
LinkedInは、ビジネス特化型のソーシャルメディアです。
個人ユーザーは自身の職歴やスキルを登録し、転職活動や業界のプロフェッショナルとのつながり構築を目的に活用しています。一方、企業は情報発信、採用活動、マーケティング活動の方法としてLinkedInを利用しています。
このサービスは2003年に開始され、現在では200以上の国や地域で利用されており、登録会員数は10億人に達しています。
最も利用者が多い国はアメリカで、アメリカのSNSユーザーの約3分の1がLinkedInを利用していると言われています。日本ユーザーは約400万人程度である一方、海外では広く普及しており、 “名刺代わりのビジネスツール” としてビジネスシーンでも一般的に使われています。
✓ 世界で会員数は10億人以上
✓ 最もユーザー数が多い国は、以下の国です
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- アメリカ :2億3,900万人
- インド :1億5,500万人
- ブラジル :8,600万人
- イギリス :4,300万人
- フランス :3,400万人
- インドネシア:3,300万人
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LinkedInでできること
LinkedInの主な使い方は、以下の3つに大別されます。
ビジネスに関する情報の収集・発信
業界ニュースやトレンド、専門知識などを日々発信・共有しているユーザーが多く、情報収集源として活用できます。自身の知見を発信することで、個人ブランディングにもつながります。
人脈構築
投稿へのコメントやメッセージのやり取りを通じて、業界内外のプロフェッショナルとネットワークを構築できます。オフラインでの出会いが少ない海外の企業担当者ともつながりやすいのが特長です。
キャリア形成・就職・転職活動
企業アカウントでは、採用に関する情報や従業員の声を発信していることも多く、就職・転職活動の情報収集やスカウト獲得の場としても活用可能です。
「ビジネスで使えるSNS」として、LinkedInは情報収集からキャリア形成、人脈構築まで、幅広く活用できるプラットフォームです。海外展開やグローバルな人脈作りを目指す方にとっては、今後さらに重要性が高まる存在と言えるでしょう。
LinkedInを海外マーケティングに活用すべき、6つの理由
日本ではまだまだ利用率の低いLinkedInですが、海外ではBtoBマーケティング担当者にとって重要なプラットフォームであることは良く知られています。この章では、LinkedInがBtoBマーケティングに最適な理由について説明します。
1. 意思決定者や業界リーダーが集まるプラットフォーム
LinkedInは「転職プラットフォーム」として利用されているため、LinkedInにはビジネスに興味関心の高いユーザーが圧倒的に多く集まっています。
LinkedInユーザーの5人中4人は意思決定のポジションに就いていると言われており、月間アクティブユーザーの40%は毎日LinkedInを利用しているという調査結果からも、専門家やビジネスパーソンが日常的に利用しているSNSであることがわかります。
つまり、LinkedInを効果的に活用することができれば、「毎日、世界中の数億人を超える”役職の就いた専門家”にアプローチが可能で、顧客とネットワークを築く機会を得られる」ということです。
ポイント
- LinkedInユーザーの5人中4人は意思決定のポジションに就いている
- 月間アクティブユーザーの40%は毎日LinkedInを利用している
- 6,900万社以上がLinkedInページを保持
2.リーダーシップを発揮するのに最適なSNS
LinkedInは、世界で10億人以上が登録しており、経営幹部・部門責任者・業界のリーダーが多数参加するSNSです。業界トレンドや専門知識、成功事例、考察などを定期的に発信することで、潜在顧客やパートナーに対してネットワークを広げ、リーダーとしての認知度と信頼性を高める機会となります。
業界トレンドや専門知識、成功事例、考察やコメントを通じて業界の最新情報が交わされ、知識やビジネスチャンスがシェアされるこの場は、専門性を活かして影響力を持つための「公開の議論の場」とも言えます。価値あるコンテンツの継続的な発信が、オーディエンスとの信頼関係構築につながります。
ポイント
ソートリーダーとして認知されることは、そのまま企業やサービスに対する信頼・期待につながるため、中長期的なブランド力強化に直結します。
3.BtoBビジネスに最適なターゲティング機能
LinkedIn広告ではユーザーが入力した役職や会社名、学歴、職務スキルなど豊富なプロフェッショナルデータをターゲティングに活用できるため「ビジネスリーダー、意思決定者、購買担当者、経営層」といったターゲット層にピンポイントでリーチが可能です。
年齢・性別・場所など基本的なターゲティングセグメントに加えて、「会社名・会社業種・会社規模・・売上規模・成長率・企業のつながり」や、スキルやキャリアといった「社会人経験年数・スキル・業種・ポジション・職務レベル」、「出身校や専攻、学位」といった学歴も挙げられます。
他のソーシャルメディアにはここまで詳しいユーザーデータを登録する必要もないため、転職プラットフォームとして利用されている LinkedIn だからこそ可能なターゲティングであり、LinkedInマーケティングがBtoBビジネスに有効であると言える大きな要素の一つです。
ポイント
ユーザーのビジネス情報を元に「製造業界、年商100億円規模以上、シニアマネージャー、資材調達、アメリカ」といった絞り込みが可能。狙ったターゲットに対して、ピンポイントで広告配信が可能です。
4.質の高いリード獲得が可能
LinkedInには、6,900万人以上の意思決定者、1億8,000万人以上のシニアレベルのユーザーがいます。つまり、「購買権限」やビジネス上の「意思決定力」を持つユーザーに直接アプローチが可能です。
また、LinkedInのレポートによると、SNSから生まれるBtoBリードの約80%は、LinkedIn経由で発生しており、Xが13%、Facebook、7%と、LinkedInのBtoBマーケティングにおける相性の良さは実証されています。それに加え、LinkedInは、訪問者をリードへと転換するコンバージョン率2.74%と、こちらも他のソーシャルネットワークの3倍ほど。大きく上回っています。
「ユーザー数、ユーザー属性、高いコンバージョン率」などを考慮しても、これほどのビジネスに親和性の高いソーシャルメディアは他にはありません。
ポイント
- BtoBリードの約80%はLinkedIn経由
- 訪問者をリードへと転換するコンバージョン率は、他のSNSの3倍
- LinkedInのオーディエンスは平均的なオーディエンスの2倍の購買力を持っている
5.リード獲得を支援する多彩なツールを提供
LinkedInは、BtoBマーケティングにおいて強力なリード獲得を実現するために、多彩な機能とツールを提供しています。
<LinkedIn:CRM Integration>
LinkedIn広告、InMail、Sales Navigatorなどのツールを活用することで、ターゲット層に対する精度の高いアプローチが可能になります。
- Sales Navigatorは、業種・役職・企業規模など、さまざまな条件での検索が可能なため、特定の意思決定者を効率よく発見・リサーチが可能
- InMail機能は、つながっていない相手にも直接メッセージを送信できるため、初回接触にも有効◎
- CRMデータとの統合も可能で、相手の行動や興味に応じたパーソナライズドな情報提供を実現可能
- Matched Audiences機能は、メールリストのアップロード、特定企業のターゲティング、さらには類似オーディエンスの作成が可能
- LinkedIn Insightタグを設置することで、Webサイト訪問者へのリターゲティングや、マーケティング戦略に役立つ詳細なオーディエンスデータの収集が可能
ポイント
さまざまなな機能やツールを駆使することで、「リードの発見 → 接触 → ナーチャリング」まで一貫してサポートが可能。BtoB企業にとって非常に強力なマーケティング基盤となります。
6.他のSNS広告と比較して、費用対効果が高い
LinkedIn広告は、他のSNS広告と比較すると、クリック単価や出稿コストがやや高めに見えることがあります。しかし、実際には的確なターゲットにリーチできるため、成果に繋がりやすく最終的な費用(ROI)が高くなる傾向があり、マーケティング予算をより効率的に活用できます。
たとえば、意思決定者やシニアクラスのビジネスパーソンなど、BtoB商談につながる層にピンポイントで広告を届けられることから、無駄な広告配信が少なく、質の高いリードを効率的に獲得できます。さらに、LinkedInの広告は他のSNSと比較して、コンバージョン率が最大で約3倍高く、顧客獲得単価も低くなるという調査データもあります。
ポイント
LinkedIn広告は「広く浅く届ける広告」ではなく、「狭く深く、確実に成果を出す広告」として、BtoB企業にとって非常に効果的な選択肢と言えるでしょう。
BtoB企業がSNSマーケティングに注力すべき理由
拡大するBtoBの電子商取引
従来のBtoBビジネスでは、対面営業が主な顧客接点でしたが、現在では商談や契約のプロセス自体が「デジタル化」しています。
Straits Researchのグローバルレポートによると、世界のBtoB電子商取引市場規模は、2022年時点で 7兆4,321億米ドルに達し、2031年までに 36兆1,000億米ドルを超えると予測されています。特にアジア太平洋地域では、国家戦略としてデジタル人材を育成していることに加え、インフラの整備やインターネット普及の影響で、「デジタル取引」の導入が加速しています。
Gartnerのレポートでも、2025年までにBtoB販売の 80% がデジタルチャネル上で完結するとされており、今後もこの流れは強まる見込みです。
BtoBビジネスにおいて、顧客との信頼関係を構築することは、依然として重要です。しかし、デジタル化の時代においては、顧客との信頼関係を構築しながら、長期戦略の一つとして最適化された顧客体験を提供できるデジタルチャネルを活用することは不可欠です。SNSをはじめとするデジタルチャネルは、その接点として大きな役割を果たします。
複雑化するBtoBの購買プロセス
かつてのBtoB営業は、担当者が訪問して製品を紹介するスタイルが主流でした。しかし近年では、顧客の購買行動が大きく変化しています。
Gartnerによると、「BtoBの購買決定には平均6~10人が関与する」とされており、社内調整を要するケースがほとんどです。さらに、営業担当者に会う前にWeb上で情報を調査し、対面する時には既に第一印象が形成されているというデータもあります。
また、「Demand Gen Report」の調査では、BtoBの購買担当者が情報収集に利用しているチャネルとして以下が挙げられています。
- General web search「検索する」– 81%
- Vendor web sites「企業のWebサイト」– 35%
- Industry guides/reports「業界レポート」– 34%
- Social Media「ソーシャルメディア」– 23%
このように、オンライン上での情報収集が購買活動の起点となっており、SNSを含むデジタルチャネルでの情報発信が、今や購買プロセスに不可欠な要素となっています。
ポイント
BtoB企業が「成約」というゴールまでたどり着くためには、まず「インターネットでの情報検索で見つけてもらい」、「良い印象を持ってもらい」、「候補に選んでもらい」、ようやく商談のテーブルに乗り、その後「6人~10人の担当者の壁を突破する」必要があり、それぞれのフェーズごとに異なるアプローチが求められています。
さいごに
BtoBの購買行動は複雑化し、かつデジタル上での接点が主流となってきた今、SNSマーケティングは単なる“補完施策”ではなく、成約に至るまでの重要な起点となっています。製品やサービスが「調べられ」「比較され」「信頼される」ためには、ソーシャルメディアを通じた戦略的な情報発信が、今後ますます不可欠になるでしょう。
企業やブランドがさまざまな情報を発信する優れたプラットフォームとして、この理想的な場を使わないという選択肢はありません。是非、新たな海外デジタルマーケティングの手段として「LinkedIn」をご検討してみてはいかがでしょうか?
インフォキュービック・ジャパンでは、海外に向けたLinkedIn戦略立案からのアカウント開設・育成・広告配信まで、数多くのお客様をご支援してきた実績がございます。「今すぐではないけど、興味がある」、「ちょっと話を聞いてみたい」など、LinkedInの活用に少しでも興味がございましたら、お気軽にご相談ください。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. BtoB企業でもLinkedInを活用するメリットはありますか? |
はい、LinkedInは特にBtoB企業と非常に親和性の高いプラットフォームです。多くの意思決定者や業界のキーパーソンが利用しており、ターゲットとなる顧客層へ直接アプローチできる環境が整っています。 |
Q2. LinkedInはどのような目的で活用されていますか? |
LinkedInは、企業の製品・サービスの認知拡大をはじめ、海外市場でのリード獲得、企業ブランディング、採用活動、パートナー開拓など、さまざまな目的で活用されています。特にBtoBビジネスでは、商談機会の創出や信頼構築の場として有効に機能します。 |
Q3. 他のSNS(FacebookやX)と比べて、どのような違いがありますか? |
LinkedInは、ビジネス領域に特化したSNSであり、職務情報や業界に関する専門的な話題が中心です。一般消費者向けのSNSに比べ、ビジネスに対する関心や購買意思のあるユーザーが多いため、BtoBマーケティングやプロフェッショナル向けの情報発信には特に適しています。 |
Q4. 広告予算が限られていてもLinkedInを活用できますか? |
はい。LinkedInは広告出稿以外にも、オーガニック投稿による情報発信や人脈構築など、費用を抑えながら取り組める手法も多く存在します。 |
Q5. グローバルに展開している企業でなくてもLinkedInは効果的ですか? |
はい。たとえグローバル企業でなくとも、特定の国や地域のターゲット層に向けて情報発信することで、国際的な信頼構築や商談機会の創出が可能です。ユーザー数などを考慮する必要はありますが、小規模な企業や新規市場への参入を目指す企業でも、適切な運用により成果を得られるケースが増えています。 |
Q6. LinkedIn広告は高いと聞きますが、費用対効果はどうですか? |
LinkedIn広告は他のSNSに比べてクリック単価が高めな傾向があります。しかし、コンバージョン率が高く、質の高いリードを獲得しやすいという特長があります。特に意思決定者層へリーチできるため、BtoB商談への発展を考えた際には、投資対効果(ROI)の高いチャネルとして評価されています。 |
Q7. どのようなコンテンツを投稿すれば効果的ですか? |
ターゲット市場や目的にもよりますが、業界トレンド、導入事例、自社の知見・ノウハウ、社内ニュース、インサイト記事などが好まれます。単なる告知ではなく、相手にとって価値ある情報を共有することで、ブランドへの信頼やエンゲージメントが高まります。 |
2024年7月11日公開
2025年7月18日更新

吉田 真帆 マーケティング部 プランナー
コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括。オーストラリアの永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本8年を経て、現在はシンガポールからフルリモート3年目。