2026年海外向けBtoBマーケティングに「LinkedIn」を活用すべき6つの理由

従来のBtoBマーケティング施策と言えば、展示会やメールマーケティングなどが主流でしたが、デジタル化が進む近年では、BtoB企業であってもデジタル施策を積極的に取り組む企業が増えています。
その中でも「LinkedIn」を活用したマーケティング戦略は、BtoBビジネスに親和性が高く、有効なマーケティング施策として、特に海外の多くの企業が施策に取り組み、高い成果を上げています。。
では、なぜ「LinkedIn」なのでしょうか?企業はどのようにLinkedInを活用しているのでしょうか?
本記事では、企業がマーケティング施策の一環として「LinkedIn」を積極的に活用するべき理由を詳しくご紹介します。
目 次
ビジネス系ソーシャルメディア「Linkedin」とは?
LinkedIn(リンクトイン) は、ビジネス特化した世界最大級のソーシャルメディアです。
個人ユーザーは、職歴やスキルを登録し、転職活動や業界の専門家とのつながり構築、情報収集を目的に活用しています。海外では 、名刺代わりにアカウント交換されるほど、ビジネスシーンでも一般的に普及しています。
企業は主に「採用・ブランディング・マーケティング」に活用しています。目的やリソースに応じて「LinkedInアカウントの運用・広告運用」を戦略的に使い分けます。たとえば、オーガニック投稿で企業の専門性を示しつつ、広告で海外の特定業種・職種へ確実にリーチするなど、長期的なブランド構築と短期的なリード獲得の双方を実現することが可能です。
LinkedIn は 2003年にサービスを開始し、現在は200以上の国や地域で12億人以上が利用しています。最も利用者が多い国は、アメリカです。「アメリカのSNSユーザーの約3分の1がLinkedInを利用している」と言われているほど一般的に利用されているSNSで、ユーザー数は2億4,300万人に達しています。(データ:LinkedIn)
LinkedIn国別ユーザー分布(2025.11時点)
| アメリカ | 2億4300万 |
| インド | 1億6100万 |
| ブラジル | 8,900万 |
| イギリス | 4,400万 |
| フランス | 3,500万 |
| インドネシア | 3,400万 |
| DACH:独墺瑞 | 2,800万 |
| カナダ | 2700万 |
- 2025年LinkedInのユーザー数は12億人を突破。市場は200以上の国と地域に拡大
- 北米・欧米だけで、約42%を占め、米・欧が中心の成熟市場
- 成長を牽引するのはインド

- 欧米・インドでは採用ツール、アジアでは企業ブランディングツールとして利用さている
- 他のSNSと比べてユーザー数は少なめだが、ビジネス系SNSとして圧倒的な独占ポジション
BtoBビジネスにおける購買行動の変化

BtoBの購買行動は“営業前”に始まっている
従来のBtoBビジネスでは、営業担当者が訪問して製品を紹介するスタイルが主流でした。しかし現在では購買担当者が営業と接触する前に、すでにWeb上で情報収集と比較検討を完了しているケースが一般的です。
Gartnerのレポートでも「営業担当者に会う前にWeb上でほとんどの調査が完了し、対面する時にはすでに第一印象が形成されている」と報告されています。つまり、営業の初回接点の前に、企業の印象や信頼がほぼ固まっているのです。
BtoB企業の購買決定には平均して6~10人の関係者が意思決定に関与しており、商談前に各自がオンラインで情報を調べているといいます。そのため、顧客に「見つけてもらい」「信頼してもらう」ためには、営業活動の前段階から各担当者に最適な情報を届け、印象を形成しておくことが重要になります。
Demand Gen Reportの調査では、BtoBの購買担当者が情報収集に利用しているチャネルとして以下が挙げられています。

- 一般的なウェブ検索:81%
- Webサイトにダイレクトにアクセス: 35%
- 業界レポート、業界ガイド: 34%
- ソーシャルメディア: 23%
オンライン上での情報収集が購買活動の起点となっており、SNSを含むデジタルチャネルでの情報発信が、今や購買プロセスに不可欠な要素となっています。
BtoBビジネスで成約までたどり着くためには、「情報検索で見つけてもらう」→「好印象を持ってもらう」→「候補に上げてもらう」→「候補に残る」→「商談のテーブル」という複雑なプロセスを辿ります。購買決定までに「6~10人の担当者の壁を突破する」必要があり、それぞれのフェーズごとに異なるアプローチが必要に。“見つけてもらい・信頼してもらう設計”が重要。
BtoBビジネスでも”デジタルチャネル”が主戦場に
BtoBビジネスの商談や契約プロセスは急速にデジタル化しています。
Straits Researchのレポートによると、世界のBtoB電子商取引の市場規模は、2031年までに 36兆1,000億米ドルを超えると予測されています。(データ:Straits Research)
特にアジア太平洋地域では、インフラの整備やインターネットの普及に加え、国家戦略としてデジタル人材を育成していることもあり、BtoB、BtoC 共に「デジタル取引」が急速に加速しています。

デジタル化の時代において、対面営業だけでは届かない層にも、オンライン上で信頼関係を構築することが求められています。
SNSが営業活動の”起点”になる時代へ
BtoBビジネスにおいて、顧客との信頼関係を構築することは、依然として重要です。しかし、SNSをはじめとするデジタルチャネルは、顧客接点として大きな役割を果たします。
Gartnerのレポートでは、2025年までにBtoB販売の 80% がデジタルチャネル上で完結しており、顧客は製品情報・企業評判・専門家の発信をもとに候補を選定しています。この傾向は特に北米や欧州、アジアのグローバル市場で顕著です。
もちろん企業サイトは重要ですが、海外BtoB企業の購買担当者は企業サイトだけでなく、LinkedInをはじめとするSNS上でも情報収集を行っています。LinkedInの調査では、海外BtoB企業の購買担当者の55%以上が、意思決定前に企業のSNS投稿や担当者の発信を確認している」と回答しています。(データ:LinkedIn)
企業の投稿内容・社員の発信・フォロワーとの対話が、営業資料よりも先に顧客の印象を決定づける時代と言えます。
ソーシャルメディアは、前線の接点に。その中もLinkedInは、最もBtoBビジネスに相性の良いプラットフォームです。特に海外では、「企業サイト+LinkedIn上の発信」が信頼形成の決定要素に。
LinkedInを海外マーケティングに活用すべき、6つの理由

日本ではまだまだ利用率の低いLinkedInですが、海外ではBtoBマーケティング担当者にとって重要なプラットフォームであることは良く知られています。この章では、LinkedInがBtoBマーケティングに最適な理由について説明します。
1. 意思決定者や業界リーダー層にリーチできる
LinkedInは、転職プラットフォームとして利用されており、LinkedIn上にはビジネスに興味関心の高いユーザーや専門家、プロフェッショナルが圧倒的に多く集まっています。
LinkedInユーザーの特徴も明白で、LinkedInユーザーの「5人中4人は意思決定のポジション」で、月間アクティブユーザーの40%は毎日LinkedInを利用しており、専門家やビジネスパーソンが日常的に利用しているSNSであることがわかります。このため、BtoBビジネスで最も接点を持ちたい層に直接アプローチできる数少ないソーシャルメディアと言えるでしょう。(データ:LinkedIn)
LinkedInを効果的に活用することができれば、「毎日、世界中の数億人を超える”役職の就いた専門家”にアプローチが可能で、顧客とネットワークを築く機会を得られる」ということです。
- 他のSNSでは届きにくい「決裁権を持つ人材」と出会えるプラットフォーム
- 企業の発信が商談や提携の“入口”に
2.専門性を活かした発信で信頼を構築できる
業界の最新トレンドや専門知識、成功事例、考察が議論・共有され、知識やビジネスチャンスがシェアされるLinkedinは、専門性を活かして影響力を持つための「公開の議論の場」とも言えます。
LinkedInは、経営幹部・部門責任者・業界のリーダーが多数参加しており、価値あるコンテンツや継続的なブランディングが、オーディエンスとの信頼関係構築につながります。
- 専門知識や実績をコンテンツ化することで、業界の専門家として認知され、ダイレクトに企業やサービスに対する信頼・期待につながる
- 「信頼できる値の発信源」として、中長期的なブランド力強化に直結
3.精密なターゲティングで「誰に届けるか」をコントロール
LinkedIn広告は、ユーザーが入力した実名登録された職務データ、学歴、職務スキルなど豊富なプロフェッショナルデータをターゲティングに活用できます。そのため「製造業 × 年商100億円以上 × 調達担当 × シニアマネージャー × アメリカ」といったBtoB特有のターゲット層にピンポイントでリーチが可能です。
年齢・性別・場所など基本的なターゲティングセグメントに加えて、「会社名・会社業種・会社規模・・売上規模・成長率・企業のつながり」や、スキルやキャリアといった「社会人経験年数・スキル・業種・ポジション・職務レベル」、「出身校や専攻、学位」といった学歴も挙げられます。
他のソーシャルメディアでは、ここまで詳細なユーザーデータを登録する必要もないため、転職プラットフォームとして利用されている LinkedIn だからこそ可能なターゲティングであり、LinkedInマーケティングがBtoBビジネスに有効であると言える大きな要素の一つです。

「届けたい層」だけに確実にリーチできるため、広告の無駄打ちを最小化し、営業リード獲得の効率を最大化することができる。
4.質の高いリードを安定的に獲得できる
LinkedIn経由のリードは、他のSNSに比べ購買意欲・意思決定権・BtoB親和性が圧倒的に高いのが特長です。
SNS経由で生まれるBtoBリードの約80%がLinkedIn由来(X:13%、Facebook:7%)。コンバージョン率も2.7%以上と、他ソーシャルメディアの約3倍に達します。(データ:LinkedIn)そのため、「量より質」でリード育成を進めたい企業に最適です。
「ユーザー数・ユーザー属性・高いコンバージョン率」などを考慮しても、これほどのBtoBビジネスに親和性の高いソーシャルメディアは他にはありません。
獲得リードの質が高く、商談化率・成約率にも直結。費用対効果を重視するBtoBマーケティングに理想的な母集団を形成できます。
5.リード獲得・育成を支える多彩なツール
LinkedInは、リード発見から接触・ナーチャリングまでを一貫して支援する機能を備えています。
LinkedIn広告、InMail、Sales Navigatorなどのツールを活用することで、ターゲット層に対する精度の高いアプローチが可能になります。
- Sales Navigator:企業・役職・規模などからターゲットを検索、キーパーソンを可視化
- InMail機能:つながっていない相手にも直接メッセージを送信可能。初回接触にも非常に有効◎
- Matched Audiences:既存顧客データをアップロードし、類似オーディエンスを自動生成
- LinkedIn Insight Tag:Webサイト訪問者を追跡し、リターゲティングやオーディエンス分析に活用
- CRM連携:行動データをもとに、最適なタイミングでの営業アプローチを自動化

<LinkedIn:CRM Integration>
リード獲得からナーチャリング、営業連携までの流れをひとつのプラットフォーム内で完結。「見つける→つながる→育てる」がスムーズに。BtoB企業にとって非常に強力なマーケティング基盤に。
6.ROIを最大化できる広告プラットフォーム
LinkedIn広告は、他のSNS広告よりクリック単価が高く見えますが、実質的なROI(投資対効果)では最も高い結果を生みます。
たとえば、意思決定者やシニアクラスのビジネスパーソンなど、BtoB商談につながる層にピンポイントで広告を届けられることから、無駄な広告配信が少なく、質の高いリードを効率的に獲得できます。さらに、LinkedInの広告は他のSNSと比較して、コンバージョン率が最大で約3倍高く、最終的に顧客獲得単価が低くなるという調査データもあります。
実際、担当者の方とお話をすると「LinkedIn広告は高額」というイメージを持たれている方も多いですが、LinkedIn広告は、「広く浅く」ではなく「確実に届ける」ことが現実的に可能な広告媒体です。広告の無駄打ちを減らし確実にターゲットに届けます。
さいごに
BtoBの購買行動は複雑化し、かつデジタル上での接点が主流となってきた今、SNSマーケティングは単なる“補完施策”ではなく、成約に至るまでの重要な起点となっています。製品やサービスが「調べられ」「比較され」「信頼される」ためには、ソーシャルメディアを通じた戦略的な情報発信が、今後ますます不可欠になるでしょう。
企業やブランドがさまざまな情報を発信する優れたプラットフォームとして、この理想的な場を使わないという選択肢はありません。是非、新たな海外デジタルマーケティングの手段として「LinkedIn」をご検討してみてはいかがでしょうか?
インフォキュービック・ジャパンでは、海外に向けたLinkedIn戦略立案からのアカウント開設・育成・広告配信まで、数多くのお客様をご支援してきた実績がございます。「今すぐではないけど、興味がある」、「ちょっと話を聞いてみたい」など、LinkedInの活用に少しでも興味がございましたら、お気軽にご相談ください。
よくあるご質問(FAQ)
| Q1. BtoB企業がLinkedInを活用するメリットはありますか? |
| LinkedInは多くの意思決定者や業界のキーパーソンが利用しており、BtoB企業がターゲットとする顧客層に直接アプローチできる環境が整っています。 |
| Q2. LinkedInの広告戦略とアカウント運用、どちらを始めるべきでしょうか? |
| 一般的にリード獲得や短期成果を狙う場合は、広告配信でターゲット層へ直接リーチ。ブランド構築や信頼醸成を目的とする場合は、アカウント運用で専門性を発信するなど、企業の達成したい目的によって異なります。両方を組み合わせることで、短期~長期的戦略を実現します。 |
| Q3. 他のSNS(FacebookやX)と比べて、どのような違いがありますか? |
| LinkedInは、実名登録制、職務データを基にターゲティングできる点です。また、ビジネスに対する関心や購買意思のあるユーザーが多く、BtoBマーケティングやプロフェッショナル向けの情報発信には特に適しています。 |
| Q4. 広告予算が限られていてもLinkedInを活用できますか? |
| はい。LinkedInは広告出稿以外にも、オーガニック投稿による情報発信や人脈構築など、費用を抑えながら取り組める手法も多く存在します。 |
| Q5. グローバルに展開している企業でなくてもLinkedInは効果的ですか? |
| はい。グローバル企業でなくとも、特定の国や地域のターゲット層に向けて情報発信することで、国際的な信頼構築や商談機会の創出が可能です。ユーザー数などを考慮する必要はありますが、小規模な企業や新規市場への参入を目指す企業でも、適切な運用により成果を得られるケースが増えています。 |
| Q6. LinkedIn広告は高いと聞きますが、費用対効果はどうですか? |
| LinkedIn広告は他のSNSに比べてクリック単価が高い傾向があります。しかし、コンバージョン率が高く、質の高いリードを獲得しやすいという特長があります。BtoB商談への発展を考えた際には、投資対効果(ROI)の高いチャネルとして評価されています。 |
| Q7. どのような投稿が効果的ですか? |
| ターゲット市場や目的にもよりますが、業界トレンド、導入事例、自社の知見・ノウハウ、社内ニュース、インサイト記事などが好まれます。単なる宣伝告知ではなく、価値ある情報を共有することで、ブランドへの信頼やエンゲージメントが高まります。 |
2020年公開
2025年11月12日更新

吉田 真帆 マーケティング部 プランナー
コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括。オーストラリアの永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本8年を経て、現在はシンガポールからフルリモート3年目。

