韓国検索エンジン「NAVER」活用法!|
機能・特徴・マーケティング活用法を徹底解説
近年、韓国は日本の観光業や輸出入分野において注目されている海外市場のひとつとなっており、さまざまな業界でビジネスチャンスが広がっています。そんな中、韓国の消費者が情報検索の際に中心的に利用している「NAVER」をマーケティングに活用したいと考えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、「NAVERって何?」という基本的な概要から、主な機能や特徴、そして実際のマーケティング活用法まで、韓国市場への進出を検討している方に向けて分かりやすく解説します。
目 次
1. 韓国の検索エンジン「NAVER」とは?
NAVERは1999年に誕生した、ウェブポータル及び検索エンジンプラットフォームです。登録ユーザーは4,400万人以上、韓国スマホユーザーの85%が利用している、韓国で人気のインターネット検索ポータルです。
日本で「検索エンジン」といえばGoogleやYahoo!を思い浮かべる方が多いですが、韓国では「検索エンジン=NAVER」と言っても過言ではないほど、NAVERが長年定着しています。実際、社内韓国人スタッフに聞いてみても、Googleをスマホで利用する機会は増えてきたものの、日々の生活ではほぼ「NAVER」を利用しているそうです。
<参照元:https://www.naver.com/>
NAVERを開いてみると、Googleのようなシンプルな検索ボックスではなく、Yahoo! JAPANに近いポータルサイト型のインターフェースが採用されています。NAVERの名前の由来は、『navigate(航海する)』という英語と、『~する人』を意味する接尾辞「-er」を組み合わせたもの。まさに、「インターネットという情報の海を航海する人」という意味にふさわしく、様々な情報元にアクセスできるようになっていることが分かります。
2. NAVERの主な特徴と機能
NAVERは韓国ユーザーのニーズに合わせて独自に進化してきたため、他の検索エンジンとは異なる点が多くあります。ここでは、マーケティングに活用する前に知っておきたいNAVERの主な特徴についてご紹介します。
NAVERの検索市場シェア
日本ではGoogleやYahoo!が利用されていますが、韓国ではNAVER、Daum、Googleが主に使われています。2025年最新の統計データによると、韓国の検索エンジン市場におけるNAVERのシェアは以下の通りです。
<INTERNET TREND:검색엔진 韓国における検索エンジンシェア ※国内の匿名化された5,000万MAUのウェブサイト行動データに基づいて生成されたデータ>
検索エンジンのシェア率は、Naver:59.16%、Google:33.91% 、Bing:7%、DAUM:2.97%となっており、NAVERの人気の高さが伺えます。
ここ数年、Googleのシェアも伸びてきていますが、NAVERは依然として韓国で根強い支持を得ている検索エンジンです。実際に、韓国人の自分もGoogleで情報を検索する機会は増えているものの、韓国内でのニュース・コンテンツ・情報探索・口コミ確認などの日常生活では、ほぼ「NAVER」を利用しています。
韓国人は、NAVER・Google・Daumを使い分けている特徴があります。韓国の検索エンジン事情については、こちらの記事で詳しく解説します。
独自の検索結果ページ(SERP)
NAVERの検索結果は、GoogleやBingとは大きく異なります。NAVERのサービスを通じて作成されたコンテンツが重視され、検索結果の上位に表示される傾向があります。例えば、NAVER広告やNAVERコンテンツ(NAVERブログ、NAVERカフェ、NAVER Knowledge iNなど)が優先的に上位表示されます。そのため、一般的な企業ホームページなどが自然検索で上位表示されるのは難しい構造です。
例えば「日本旅行おすすめ」で検索すると、NAVERのリスティング広告が10件、NAVERのブログ記事やNAVER TV動画が上位に並び、ウェブサイトのコンテンツは7~10回スクロールしないと表示されません。
また、検索結果の構成は、検索ユーザーの検索意図や過去の検索行動データによって変化するため、Googleなどで行うSEO対策はNAVERには通用しません。そのため、韓国市場ではNAVERが提供するサービスを積極的に活用したマーケティング活動が一般的です。
NAVERが展開するサービス
NAVERは単なる「検索エンジン」ではなく、韓国の消費者向けに様々なサービスを提供するプラットフォームとして支持されています。ニュース、ショッピング、コンテンツ、コミュニティ、予約など、韓国人の日常に欠かせないサービスが展開されており、検索を通じてこれらのサービスに簡単にアクセスできます。
朝起きてニュースをチェックしたり、天気を調べたり、グルメ情報を検索したり、オンラインショッピングをしたりと、NAVERは一日の様々なシーンで利用されています。実際、筆者(日本在住5年目の韓国人)も最近の韓国旅行でNAVER検索を使って観光地を探し、NAVERブログで口コミを確認し、NAVER予約でレストランを予約、NAVERマップでルートを確認するなど、NAVERはなくてはならない存在です。
このように、NAVERは韓国のオンライン生態系を構築しており、韓国人にとって必須のデジタルツールとなっています。特に以下のような日常活動に大きな影響を与えています。
- 情報取得:ニュース、リアルタイムの話題、専門情報などの主要な入口
- 意思決定支援:商品購入やサービス選択時の口コミ・情報提供
- 社会的交流:カフェやブログを通じたコミュニティ参加
- エンターテインメント:ウェブ漫画、ニュース、動画などのコンテンツ消費
NAVERを韓国マーケティングに活用するポイント
NAVERは韓国のデジタル広告市場でも絶大な影響力を持っており、多くの企業にとって欠かせないマーケティングチャネルとなっています。
ここでは、マーケティング活用度の高いNAVERのサービスをピックアップしてご紹介します。
1.NAVER広告でプレゼンスを高める
NAVERは検索エンジン上で様々な形式の広告表示が可能です。代表的なのはリスティング広告(検索連動型広告)とディスプレイ広告の2種類です。先述の通り、NAVERの検索結果ページ(SERP)では最上部にリスティング広告が最大10件表示されます。色分けされているため視認性が高く、クリックされやすいのが特徴です。
ディスプレイ広告は、NAVERのトップ画面だけでなく、NAVERが提供する各種サービス上に画像や動画形式で掲載でき、多くのユーザーにアプローチできます。また、地域・年齢・性別・興味・関心などでターゲティングができるため、ターゲットを絞った効果的な広告キャンペーンが可能です。
韓国内で特定の商品やサービスを短期間で積極的にPRしたい場合は、NAVER広告の活用が重要です。
✅ マーケティング活用法
- リード獲得:特定キーワードで検索する購入意欲の高いユーザーに広告を表示
- 売上増加:プロモーションやイベント情報を広告文で訴求し、即時購入を促す
- ブランド認知向上:ディスプレイ広告で幅広いユーザーにブランド露出
- 実店舗への誘導:プレイス情報や位置情報の拡張素材を活用
2.NAVERブログで情報発信・SEO対策をする 
NAVERブログ(네이버 블로그)は、韓国の検索ポータルサイトNAVERが運営する、韓国最大級のブログサービスです。一日で投稿されるコンテンツは120万件、訪問者数は最大1800万人、ページビュー数は2億6000万件にまで至り、その人気をうかがい知ることができます。
投稿内容はNAVERの検索結果に表示されます。個人・企業・団体問わず、NAVERアカウントを登録してログインするだけで、無料でブログを開設し、コンテンツを投稿できます。
<NAVER ブログ:https://www.navercorp.com/service/serviceCommunity>
先述したように、NAVERでは企業のウェブサイトは上位表示されにくい仕組みを採用しているため、企業のウェブサイト内でコンテンツマーケティングを実施しても効果が見込めません。NAVERブログを活用して、ユーザーが検索しそうな関連キーワードを含むクエリなどを含めることで、ブログコンテンツを検索結果に表示させましょう。他のブログと同様に適切なキーワードで一貫したコンテンツを投稿していくことが大切です。
NAVERブログはマーケティングのツールとして効果が高く、口コミが大きな影響を及ぼす韓国では、NAVER内で上位表示が狙えるNAVERブログが韓国マーケティング施策の一つとしてさまざま企業などから広く活用されています。
✅マーケティング活用法
- コンテンツマーケティング:専門情報やレビューなど質の高いコンテンツで潜在顧客を獲得
- ブランドストーリーテリング:ブランドの哲学や価値観を共有し、顧客との絆を構築
- SEO対策:特定キーワードで検索上位表示を狙い、継続的なトラフィックを獲得
- 権威性の向上:サービス事例や顧客の声を掲載し、信頼性をアピール
NAVERブログの上位表示には、Googleとは異なるNAVER独自のアルゴリズムをしっかり理解することが重要です。NAVERブログSEOについては、こちらの記事で詳しく解説します。
3.NAVERカフェでユーザーとコミュニケーションを取る
NAVERカフェは、特定のテーマに興味を持つユーザーが集まるオンラインコミュニティです。日本ではあまり馴染みがありませんが、韓国では2025年2月基準に952万人が利用しています。(韓国内アプリ利用者数)
NAVERカフェを開設すると、開設者がカフェマネージャーとなり、複数の掲示板やトピックを作成し、コミュニティ運営ができます。興味のある人はカフェメンバーになり、各掲示板で自由にコミュニケーションを取れる仕組みです。投稿はNAVERの検索結果にも表示されます。
<出典:https://www.navercorp.com/service/serviceCommunity>
NAVERカフェを活用したマーケティングは、直接的な検索上位表示というより、特定のターゲットユーザーが集まるコミュニティ内でのエンゲージメント構築や、自社ブランドファンとの交流が主な目的です。
✅マーケティング活用法
- コミュニティ構築:ブランドファンを育成し、ロイヤルカスタマーを獲得
- ターゲットマーケティング:特定の興味関心を持つ層に広告や提携を通じて直接訴求
- 顧客関係構築:メンバーとの継続的な交流でフィードバック収集や関係強化
- バイラルマーケティング:メンバーによる自発的な情報共有や口コミ拡散
4.NAVER Knowledge iN で活動する 
NAVER Knowledge iNは、日本のYahoo!知恵袋や海外のQuoraのように、ユーザーが質問し、他のユーザーが回答するQ&Aサイトです。
自社ビジネスに関連する悩みやキーワードについて積極的にユーザーの課題解決を行うことで、NAVER Knowledge iN内の特定キーワードで強い存在感を示すことができます。
<出典:https://www.navercorp.com/service/serviceCommunity>
実際、韓国では法律関連の質問に弁護士が、医療関連の質問には医師が直接回答し、NAVERの検索結果にKnowledge iNの質問と自分の回答が表示されることで、自然に権威性やプレゼンスを高める活用例も見られます。
また、質問はニーズを表すので、コンテンツを企画する際にもよく参考にされています。
✅マーケティング活用法
- 業界での権威性の向上:特定分野の質問に専門的な回答をすることで、専門家イメージを構築
- 潜在顧客ニーズ把握:ユーザーが知りたいことを分析し、サービスや商品開発に活用
- 間接的なPR:回答内容に自社サービスや商品情報を自然に盛り込み認知度アップ
- コンテンツアイデア発掘:よくある質問をもとにブログやカフェのコンテンツを企画
5.NAVERビジネス向けテクノロジーを活用する
NAVERエコシステムには、多くのユーザーにリーチするために活用できるビジネス向けサービスが多く用意されています。自社のビジネスに合うサービスは積極的に活用しましょう。
NAVER Smart Store(スマートストア)
eコマースプラットフォームと同様に機能し、企業が簡単にオンラインストアを立ち上げることができます。プラットフォーム上で、商品を出品、宣伝、取引を実行することができます。
NAVER Smart Place(スマートプレイス)
実店舗を持つオーナーが場所、営業時間、連絡先詳細などを追加するのに役立ちます。さらにNAVERユーザーにリーチし、顧客として獲得します。これにより、ローカル検索での視認性を高めることが出来ます。
NAVER Tok Tok(ネイバートクトク)
企業と顧客をつなぐチャットサービスです。モバイル・デスクトップともに利用可能です。
NAVER WORKS(ネイバーワークス)
Googleワークスペースと同様にNAVERのメール、カレンダー、連絡先、ドライブ、ビジネス用ラインが利用可能
NAVER modoo!(ネイバーモード―!)
モバイルサイトを作成し、NAVER検索エンジンに送信します。
NAVER Analytics(ネイバーアナリティクス)
ユーザー分析に役立つデータ分析を可能にします。
6. Naver Search Advisorにサイトを登録する
GoogleがGoogleサーチコンソールを提供しているのと同様に、NAVERはNaver Search Advisorという無料ウェブマスター向けツールを提供しています。
自身が運営するウェブサイトをNaver検索に登録し、インデックス状況、検索トラフィック、最適化レポート、TXTファイルを送信したりする、クロールエラーの確認などが可能です。また、ウェブサイトのパフォーマンス、検索パフォーマンスを確認することができるようになるため、NAVERを活用したマーケティングには、非常に有効なツールです。
対象サイトの所有者として認証、Naverアカウントが必須です。
さいごに
韓国の人々は商品やサービスを探す際、旅行情報を調べる際、コミュニティで意見交換する際、まずNAVERを活用します。Googleのシェアも徐々に伸びていますが、NAVERは依然として韓国のデジタルエコシステムの中心的なインフラであり、消費者との接点として重要な役割を担っています。
そのため、韓国市場でブランド認知拡大、商品PR、顧客とのコミュニケーションを効果的に行うには、NAVERの機能や特徴を正しく理解し、それを活用したマーケティング戦略を立てることが非常に重要です。i CROSS BORDER JAPANでは、韓国人マーケターが貴社の韓国向け施策をサポートしていますので、ぜひ気軽にお問い合わせください。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. NAVERとは何ですか? |
NAVERは韓国独自の検索エンジンで、2025年8月時点で韓国検索市場の約6割を占めています。 |
Q2. NAVERはGoogleやYahoo!とどのように違いますか? |
NAVERは韓国で最も利用されている検索エンジン兼ウェブポータルです。GoogleやYahoo! JAPANとは異なり、ニュース、ショッピング、コミュニティなど多様なサービスが一体化している点が大きな特徴です。 |
Q3. NAVERでのSEO対策はGoogleと異なりますか? |
NAVERは独自の検索アルゴリズムを採用しており、Googleのように外部リンクの評価を重視するのではなく、NAVER内のブログやカフェといったコンテンツの質や更新頻度を重視します。そのため、Google向けSEO対策をそのまま適用することはできず、NAVER専用のコンテンツマーケティング戦略が必要です。 |
Q4. NAVERの主なマーケティング活用法は何ですか? |
主な手法として、NAVER広告によるターゲティング広告、NAVERブログを活用した情報発信やSEO対策、NAVERカフェでのコミュニティ構築、NAVER Knowledge iNを通じた専門性アピールや潜在顧客ニーズの把握などがあります。自社の目的やターゲットに合わせて組み合わせることが効果的です。 |
Q5. 韓国市場でNAVERを活用する際の注意点はありますか? |
NAVERは韓国独自のデジタル生態系を形成しており、日本のウェブマーケティングとは異なるルールやユーザー習慣があります。例えば、自社サイトが検索結果で上位表示されにくいこと、広告やブログを活用する必要があること、ターゲット層ごとにサービスを使い分ける必要があることなどが挙げられます。現地事情に合わせた戦略設計が不可欠です。 |

ヨンス チェ マーケティング部
大学では日本語の通訳・翻訳を専攻し、韓国から日本への移住を決意。 「日本と世界をデジタルで繋ぐ」マーケターとして活躍したいとを思い、インフォキュービック・ジャパンへ入社。 淡水エビ・タランチュラ・大型オウム・希少クワガタなどの飼育・繁殖経験もあるほど生き物が大好きです。現在、ヤモリを飼育して10年以上、ヤモリ愛に溢れた韓国人です。