中国で人気動画プラットフォーム 7選|
~急成長する中国動画市場を徹底検証~
中国でブランドの存在感を持続的に高めていくには、変化するユーザートレンドを捉え、中国独自の動画文化やプラットフォームの特性に合わせた戦略設計が欠かせません。また、プラットフォームごとのユーザー層やコンテンツの傾向を理解し、AIや配信技術といった先端テクノロジーを活用することも求められます。
中国の動画市場は、AIが主導するパーソナライズドコンテンツや、ユーザーの没入度を高める“ハイパーエンゲージメント”が軸となり、動画を中心としたマーケティング戦略の重要性が一層高まると予測されています。
本記事では、中国で人気の動画プラットフォームを動画セグメントごとにユーザー属性を整理し、企業が活用すべき中国動画プラットフォームを厳選してご紹介します。
目 次
- 中国のオンライン動画市場予測
- 中国で人気の動画セグメント
- 中国動画戦略に活用できる動画プラットフォーム
- 3-1.中国の人気ショート動画プラットフォーム
- 抖音(Douyin)
- 快手(Kuaishou)
- 西瓜視頻(Xigua Video)
- 美拍(Meipai)
- 3-2.中国の人気長編動画プラットフォーム
- 爱奇艺(iQIYI)
- 騰訊視頻(Tencent Video)
- 哔哩哔哩(Bilibili)
- 優酷(Youku)
- 芒果TV(Mango TV)
- 3-1.中国の人気ショート動画プラットフォーム
- 中国の動画プラットフォームの特徴とマーケティングインサイト
- さいごに
- よくあるご質問
中国のオンライン動画市場予測
2024年6月時点で、中国のオンライン動画(ショート動画、ミニドラマ含む)のユーザー数は、10億680万人に到達し、インターネットユーザー全体の97.1%を占めています。
このうち、ショート動画ユーザーは10億5,000万人に達し、インターネットユーザー全体の95.5%を占めています。
中国では、オンライン動画の人気・需要が高まっていることや、AIやDL(ディープラーニング)、機械学習などの技術が進化していることから、オンライン動画市場は今後さらに成長すると期待されています。
中国で人気の動画セグメント 
2024年上半期には、「ショート動画・長編動画・ミニドラマ」の3つのセグメントが明確な発展を示しており、中国の消費者の意思決定を形作る上で、ますます重要な分野になるとみられています。
1.ショート動画
既にインターネットユーザーの95.5%が視聴しているショート動画は、ユーザー数の爆発的上昇は見られなかったものの、定着率が着実に向上し、ユーザー数と視聴時間が安定的に増加しました。
ショート動画からeコマース事業への流れが定着し、商業化が進んでいます。
2.長編動画
長編動画もショート動画同様、インターネットユーザーの97%ほどが既に視聴しているため、ユーザー数の爆発的上昇は見られなかったものの、大手プラットフォームがコンテンツのクオリティ基準を見直し、高品質な作品制作に注力しているフェーズに入っており、「量より質」への傾向が続いているようです。
技術革新による業界全体の生産性の向上を目指し、各プラットフォームがAIGC制作エンジンを開発に注力しています。
3.ミニドラマ
ミニドラマ分野は急成長し、2024年6月時点でミニドラマのユーザー数は5億7,600万人に達しました。コンパクトなサイズ、テンポの速さ、低コストが特徴のミニドラマは、業界の革新と発展を推進する新たな力となっています。
中国CNNICのレポートによると、2024年1月には国家ラジオテレビ総局が「ミニドラマで旅する」創作計画を発表し、地域文化・観光資源との連携が進展。既存の人気ミニドラマに観光要素を加え、中国国内外の共同制作などを通じて「観光地チェックイン」の新トレンドが生まれています。
※出典:China Internet Network Information Center (CNNIC)_「The 54th Statistical Report on China’s Internet Development」
中国で人気のショート動画プラットフォーム
Statistaのレポートによると、世界で視聴される動画の中の約半分がショート動画が占められており、もはや一過性のトレンドではなく、生活に根付いたメディア形態と言っても過言ではありません。中国では、10億人以上がショート動画アプリを積極的に利用しており、情報収集、エンタメ、購買行動などあらゆる行動にショート動画が結びついています。
中国市場をけん引する代表的なショート動画プラットフォームについて、それぞれの特徴やユーザー層、企業活用のヒントを交えながらご紹介します。
抖音(Douyin)
中国版 TikTok と呼ばれている「Douyin」は、ユーザーはさまざまなクリエイティブ機能を使って、ショート動画を撮影および編集、投稿、共有できるソーシャルメディアです。とはいえ、単なるショート動画プラットフォームだけでなく、ライブストリーミング、eコマースなど、さまざまな機能を実装しており、説明するまでもなく、中国で最も人気のあるショート動画プラットフォームの一つです。
ユーザーの特徴
- ユーザー数:2025年5月時点の月間アクティブユーザーは、7億6,650万人。中国のインターネットユーザーの83%がDouyinを利用
- 地理分布:主に一線都市だが、農村部でも人気が拡大
- 年齢層:18-35歳が約70%を占める。主にミレニアル・Z世代だが、幅広い年齢層で利用されている
- 男女比:男女比はほぼ半々
TikTokとの違い
DouyinはEC機能との連携が強く、同時に中国政府による厳格な規制の下で運営されています。これに対してTikTokは、グローバルな視聴者層を意識し、多様性に富んだコンテンツ展開を行っている点が特徴です。
機能
①高度な機能性
Douyinは、TikTokとよく似た機能を持ちながらも、より高度で多機能な仕組みが実装されています。特徴的なのは、「動画内検索機能」です。視聴者は、動画に映っている人物の顔をタップすることで、その人物が出演している他の動画を検索することが可能。こうしたインタラクティブな体験は、ユーザーの没入感を高め、コンテンツの滞在時間向上にも貢献しています。
②ECとの強力な連携が可能
さらに、eコマースとの連携もDouyinの大きな強みです。動画で紹介されている商品をそのまま検索・購入できる「動画内ショッピング」機能が充実しており、Tmall、淘宝網、JD.comなど、中国主要ECサイトの商品とも直接リンクが可能です。動画の発見>視聴>購買がシームレスにつながるこの仕組みにより、エンタメとショッピングが一体化した新たなユーザー体験が提供されています。
③強力な拡散力を持つアルゴリズム
その影響力の大きさは、数値にも表れています。2024年、DouyinはTikTokとともに、ゲーム以外のアプリとして史上初めてアプリ内課金収益が60億ドルを突破し、世界中で注目を集めました。特に中国国内では、Douyinが「消費者支出額が最も高いアプリ 第一位」となり、その経済的影響力の高さが改めて浮き彫りになっています。
加えて、Douyinのアルゴリズム設計もその拡散力を支える重要な要素です。「人気の高いコンテンツほど他ユーザーに表示されやすい」という仕組みのため、ユーザーの心をつかむ動画は、あっという間に拡散され、個人でも爆発的なリーチを得る可能性を秘めています。
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Douyin(抖音)は、ByteDanceグループの一員として月間アクティブユーザー19億人超の膨大なデータプールを活用できる点が大きな強みです。この圧倒的なユーザーデータに加え、高度なAIと機械学習技術を駆使することで、極めて精度の高いターゲティングが可能です。
- インフィード広告:5秒~60秒の動画が音声付で自動再生される。CTA挿入可能。LPやeコマースサイトなどに遷移可能
- トップビュー 広告:Douyinを開いた際に出す広告で、最大60秒の広告を配信できる
- ブランドテイクオーバー広告:アプリを初めて開いた際に、画面全体に表示させる広告。静止画も◎
- 検索広告:商品やサービスを検索すると検索結果に表示される広告
- Douyin 電子商取引広告:Douyinストア内に直接リンク可能。
Douyin広告では、多様な広告フォーマットを提供しており、ユーザーの位置情報、年齢、性別、関心分野などに基づいて細かなターゲティングが可能です。これにより、視聴者への的確なアプローチが実現し、商品・サービスの認知拡大や売上向上につながる、非常に効果的なプロモーション手段となっています。
快手(Kuaishou)
KuaishouはGIFイメージを編集するアプリとしてローンチされ、2013年ごろからは動画編集や共有が可能なアプリに進化しました。日本ではあまり馴染みのないKuaishouですが、中国では「Douyinの最大のライバル」と言われるほど、人気の高いショート動画プラットフォームです。
KuaishouもDouyin同様、動画制作、編集、共有することが可能なショート動画プラットフォームです。また、eコマース機能、ライブストリーミング機能は、Kuaishouが大きな支持を集める理由の一つです。
最先端のAI技術を活用し、エンターテイメント、オンラインマーケティング、EC、ローカルサービス、ゲームなど幅広い分野に対応。最も人気のあるコンテンツカテゴリは、ライフスタイルコンテンツ(29.8%)です。
電子商取引コンバージョン率はDouyin よりも5~10倍ほど高く、Kuaishouの電子商取引における総流通総額(GMV)は、2024年上半期に3,323億人民元に達し、前年同期(2,881億人民元)と比べて15.4%の増加しています。
ユーザーの特徴
- ユーザー数:2025年Q1時点の快手アプリの平均MAUは7億1,170万人で前年同期比+2.1%、平均DAUは4億800万人で前年同期比+3.6%
- 地理分布:コミュニティの半数近くは三線都市・四線都市といった中規模都市や地方都市が中心。第一都市に住んでいるユーザはわずか10%ほど
- 年齢層:特に30歳未満の若い世代から支持を集めるが、幅広い年齢層から人気
※ 2025Q1 監査対象外財務諸表「Kuaishou Technology Announces First Quarter 2025 Unaudited Financial Results」を参照
Douyinとの違い
Douyinと大きく異なる点は、ユーザーは大都市以外の下層都市や地方の小さな町の若者をターゲットにしているという点です。
また、Douyinが「エンターテイメント性」を重要視しているのに対し、Kuaishouでは教育系コンテンツや日常生活を反映した「リアルで共感できるコンテンツ」に焦点を当てています。超大国である中国の中で、地方在住の人々から強い支持を集めています。
アルゴリズム
Kuaishouのアルゴリズムは、ユーザーがすでにフォローしているアカウントからのコンテンツを重視しており、全体の40〜50%がそのような投稿で構成されています。この仕組みにより、フォロワー間のエンゲージメントの高さが重視される設計。
ユーザー数はDouyinが勝っていますが、アルゴリズムと人口統計がDouyinとKuaishouでは、全く異なるということを理解しておきましょう。
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Kuaishouは売上やリードを促進するダイレクト レスポンス広告などのパフォーマンスベースの広告に重点を置く傾向があります。ユーザーの性別、年齢、位置、興味関心、行動履歴などに応じてターゲティングが可能です。
- インフィード広告:メインフィード上に短い動画や画像を配信可能
- トップビュー 広告:アプリを開いた際に表示される最大60秒の動画広告。上スワイプでサイトに遷移、アカウントフォローなどのアクションを促進可能
- ブランドテイクオーバー広告:全画面または、5~10秒の動画広告
- ライブ配信広告:ライブ配信内配信できる広告
- 検索広告:商品検索を行うと検索結果に表示される広告
西瓜視頻(Xigua Video)
西瓜視頻(Xigua Video)は、ByteDanceが2017年に立ち上げた動画配信プラットフォームで、主に中~長編の動画コンテンツに特化しています。
TikTokやDouyinなどの姉妹サービスと比べて、Xiguaは映画・ドラマ、ドキュメンタリーなどの長尺コンテンツの配信に注力しており、動画編集機能は搭載されていません。そのため、「中国版YouTube」とも呼ばれ、プロの映像作品やユーザー生成の長編動画が豊富に視聴できます。月間アクティブユーザー数は約一億人ほどの規模に成長しています。
さらに、日本のフジテレビは2024年、西瓜視頻と戦略的パートナーシップを締結しました。この提携により、フジテレビがかつてゴールデンタイムで放送した人気ドラマを含む多くのコンテンツが中国全土に配信されることとなり、Xiguaを通じた日本コンテンツのグローバル展開にも注目が集まっています。
アルゴリズム
ByteDanceの高度なアルゴリズムによって、視聴履歴や興味関心に基づいたレコメンド機能が強化されており、ユーザーごとに最適化されたコンテンツ体験が提供されています。また、クリエイターとの連携を通じて、中国国内の幅広いユーザー層にアプローチするマーケティングにも活用されています。
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Xiguaでは、ByteDanceの高度なAIアルゴリズムを活用し、広告主が効果的にターゲットへリーチできる仕組みが整えられています。また、DouyinやToutiaoなどと連携したクロスプラットフォームな広告展開も可能で、より広範なターゲットリーチが可能です。
美拍(Meipai)
Meipai(メイパイ)は、中国のテクノロジー企業Meitu Inc.(美図公司)が2014年にリリースしたショート動画編集・共有アプリです。「美(美しい)を撮る」という意味のブランド名が示す通り、50以上のビデオエフェクト、12種類のフィルター、100種類以上の音声クリップなど、多彩な編集機能を搭載。直感的な操作性とライブ配信・コメントなどSNS的な機能も充実しており、特に10〜30代の女性から人気を集めています。
Facebookの最高製品責任者からは「動画版Instagram」とも称されており、エンタメ・美容・ファッション・ライフスタイル分野での利用が活発です。2016年時点で月間アクティブユーザーは1.7億人、1日の動画再生回数は2.5億回を超えるなど、中国を代表するショート動画プラットフォームのひとつとなっています。
現在、運営本部(HQ)をアメリカに置き、アジア各国に積極的に事業展開を進めています。
ユーザーの特徴
10〜30代の女性ユーザーを中心に人気を集めており、エンタメ、美容、ファッション、ライフスタイルといったジャンルの投稿が多く見られます。
公式な最新情報は見つけられませんでしたが、2016年時点で、5,200万人のデイリーアクティブユーザーと、1億7,000万人の月間アクティブユーザーを抱え、1日の動画再生回数は2億5,000万回以上に達しています。これらの数字は今なお成長を続けており、Meipaiは中国における主要なショート動画プラットフォームのひとつとして確固たる地位を築いています。
中国で人気の長編動画プラットフォーム
先述したように、中国では目的によって動画サイトを使い分けるため、中~長時間動画を視聴するための動画サイトと、ショート動画を視聴するためのプラットフォームは異なります。
爱奇艺(iQIYI)
iQIYI(アイチーイー)は、2010年に中国の大手IT企業バイドゥ(Baidu)の子会社として設立された、中国最大級のオンライン動画ストリーミングプラットフォームです。
サービス開始当初から「中国版 Netflix×YouTube 」とも称されるほど、豊富な動画コンテンツと使いやすいプラットフォームを提供。中国国内で巻き起こったアイドルブームを背景に、人気バラエティ番組の著作権を積極的に取得・配信することで、短期間で大きな支持を集めました。
現在では、ドラマ、バラエティ、映画、アニメ、スポーツ、子ども向け番組、テレビ番組など、150以上の主要ジャンルにわたるコンテンツを展開。独自制作の作品や、ライセンス取得による高品質コンテンツを通じて、幅広いユーザー層に支持されています。
ユーザーの特徴
- ユーザー数:MAUは5億2,000万人以上、有料会員は1億1,200万人
- 地理分布:主に、北京、上海、広州、深センといった一線都市が中心だが、二線、三線都市や地方ユーザーも増加傾向
- 年齢層:メインユーザーは、10代~30代の若者層
- 男女比率:ほぼ半々で、男性が3%ほど多い
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- 動画コンテンツ内広告:動画の前後や途中に挿入される広告
- スポーンサード広告:人気番組内でのブランドコンテンツ、スポンサーシップ、商品配置など
- インフルエンサー連携:インフルエンサーと動画プロモーション連携も可能
爱奇艺(アイチーイー)では、“advertising is content, content is advertising/広告はコンテンツであり、コンテンツは広告である”という信条を掲げており、iQIYIの広告は、長編動画コンテンツ内に自然に溶け込む形で配信され幅広いユーザーにリーチが可能です。
騰訊視頻(Tencent Video)
Tencent Videoは名前の通り、WeChatやQQを提供するアジア最大級のインターネットサービス企業である Tencent(テンセント)が提供する動画配信サービスです。
2011年からサービスを開始し、自社制作の中国アニメやドラマ、バラエティ、スポーツ、ドキュメンタリーなど数多くのコンテンツを配信しており、iQIYI同様にNetflixとYouTubeを組み合わせたようなものとして認識されています。
Tencent Videoでは、個人でアップロードされたコンテンツが多く、ショート動画からニュースやバラエティー番組、騰訊視頻のオリジナルドラマやバラエティーなど幅広いコンテンツを配信しています。番組の種類はiQIYIよりも少ないと言われています。
東南アジアや欧米向けにグローバル版「WeTV」も展開しています。
ユーザーの特徴
- ユーザー数:月間アクティブユーザーは約4億5,330万人。有料会員数は1億1,300万人(2024年決算資料)
- 年齢層:40歳未満が中心。4分の3以上が40歳未満
- 地理分布:都市部から地方まで幅広く普及している
- 男女比率:男女比はほぼ均等
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騰訊視頻では、企業が製品やサービスを多くの人に宣伝するための優れた広告プラットフォームです。さまざまな動画の長さとフォーマットが用意されており、予算が限られている場合でもさまざまな動画広告を選択することができます。
- ネイティブ広告:自然な形で動画コンテンツに溶け込みユーザー体験を阻害しない広告
- バナー広告:位置情報ターゲティングを利用して配信
- インタースティシャル広告:アプリのページ遷移時に全画面表示される広告
- オープニング広告:アプリ起動時に全画面表示される。静止画、ショート動画などさまざまなフォーマットが用意されている
Tencent Videoでは、Tencentが保有する大規模なユーザーデータと行動履歴に加え、先進的なAIを組み合わせることで、狙ったターゲットに的確にリーチする広告配信が可能です。広告を出稿する際は、中国に登録された電話番号かQQ番号が必要です。
哔哩哔哩(bilibili)
2009年に設立されたビリビリ(Bilibili)は、もともとアニメ・コミック・ゲーム(ACG)を中心としたコンテンツを提供するエンターテインメントプラットフォームとして知られていました。中国では「中国版YouTube」とも呼ばれ、特にZ世代を中心とした若年層から圧倒的な支持を得ています。
ビリビリの最大の特徴は、他の動画プラットフォームとは異なり、日本のアニメやゲーム、コミックに焦点を当てたコンテンツ戦略です。これにより、Z世代の若者層から高いエンゲージメントを獲得しています。
Bilibiliが主催する大規模イベント「Bilibili World」は、40万枚のチケットが数十秒で完売するほど、熱狂的ファンの多い、プラットフォームです。
ユーザーの特徴
近年では、ショート動画分野にも事業を拡大しており、ユーザーの多様なニーズに応える動画プラットフォームへと進化を遂げています。2025年第1四半期の財務発表によると、月間アクティブユーザー(MAU)は3億6,800万人、デイリーアクティブユーザー(DAU)は1億670万人に達し、1人あたりの平均視聴時間は1日108分と過去最高を記録しました。また、月間課金ユーザー数は3,200万人となり、こちらも過去最高を更新しています。
- ユーザー数:月間アクティブユーザー(MAU)は3億6,800万人、デイリーアクティブユーザー(DAU)は1億670万人
- 地理分布:詳細なデータは公表されていないが、北京、上海、広州、深センといった一線都市が中心
- 年齢層:メインユーザーは、18-35歳の若者層
- デバイス:多くのユーザーがモバイル端末からアクセス
近年、グローバル展開も積極的に進めており、近年では英語、インドネシア語、タイ語、ベトナム語にも対応した多言語版アプリを展開。2022年以降は、シンガポール、フィリピン、インドネシアなど東南アジア市場への進出にも注力していますが、依然として中国国内で利用されているプラットフォームです。
広告
Bilibiliではキャンペーンの目的に応じて、さまざまなタイプの広告を利用することが可能です。
- ネイティブ広告:ユーザー体験を邪魔しない、自然な形で他の動画コンテンツに溶け込む広告
- Qifei広告:ライブ配信やストーリー形式の動画に、リンクを埋め込み、視聴者を直接ECサイト(淘宝、京東など)に誘導可能
- ディスプレイ広告:検索結果やホームページなどに掲載可能
- プレロール広告:動画開始前に表示させる
- アプリ起動型広告;アプリの起動時に表示させる
Bilibiliの広告は、特に中国の若年層に強くリーチできるマーケティングチャネルです。コメント機能「弾幕」によるリアルタイム参加型プラットフォームのため、ユーザーエンゲージメントが極めて高いことが特徴です。
また、近年ではAIによる入札最適化や競合分析機能により効率的な広告運用が可能で、モバイル・PC・タブレット・OTT・車載システムなど多様なデバイスに対応しています。
特徴
- 若者が多く、アニメ作品が集まり、リピーターが多い
- 最近はアニメ文化の流行もあり、徐々に二次元メインからYoutuberのような投稿者も増加
- ニコニコ超会議のような大規模イベント「ビリビリワールド」が開催
優酷(Youku)
アリババグループ傘下のYouku は、設立当初の2005年に当時絶大の人気を誇っていたYouku と土豆(ポテト)を合併。中国で最も早期にサービスを提供し始めた動画プラットフォームです。
中国のNetflixと認識されていた Youku ですが、近年はよりプロフェッショナルな長編コンテンツやテレビ番組配信にも力を入れています。映画、ドラマ、バラエティ番組、アニメ、ドキュメンタリーと豊富な配信コンテンツを中心に若者からファミリー層まで幅広くカバーしています。
ユーザーの特徴
- ユーザー数:月間アクティブユーザーは4億1,350万人に。中国で3番目に月間アクティブユーザー数が多い
- 地理分布:一線都市を中心にユーザーが多く、二線・三線や地方にも普及
- 年齢層:メインユーザーは25歳~34歳だが、45歳以上も28%以上と、幅広い年齢層から支持を獲得
- 男女比率:女性ユーザーがやや多い
Youku は、2015年にアリババグループに買収されたこと、また音質と画質が他の動画サイトよりも格段に高く、幅広いソースを通じて配信していることで多くのユーザーを獲得しました。
また、アリババのECシステム(Tmall、Taobao)へのリンクが可能で、動画視聴とECをシームレスに連携しています。
Youku は、PC・テレビ・モバイル・自動車内といったさまざまな端末で視聴可能で、自主制作コンテンツはもちろん、ユーザー生成コンテンツ(UGC)、ライブブロードキャストなど幅広いコンテンツを配信しています。
広告
広告は動画や静的、アニメーション化できるバナー、テキストリンクやボタンなど、さまざまな形や形式で表示できる「ハード広告」と、コンテンツ内でのプロダクトプレイスメントやバイラル動画などの「ソフト広告」が、知られています。
芒果TV(Mango TV)
2014年に設立された芒果TV(MGTV)は、中国の湖南省テレビの傘下にあるインターネット動画プラットフォームです。湖南省テレビのロゴがマンゴーと似ているため、中国では別称「マンゴーテレビ」とも呼ばれています。
多彩なオリジナルコンテンツが豊富で、独占配信のバラエティ番組、映画、オリジナルドラマ、スポーツ、ゲーム、短編映画など豊富なコンテンツをユーザーに提供しています。社内で、中国人スタッフに聞いてみたところ、湖南省テレビといえば「バラエティー番組」というイメージが定着しているようです。
アプリダウンロード数は、7億3,500万以上を超えています。
2018年には国際版アプリをリリースし、多くのアジア諸国にもサービスを展開しています。また、テクノロジーに特化したメディアでもある芒果TVは、同社の独自ブロックチェーンGuangmang Chain 上に構築された独自のNFTプラットフォームを2023年3月にローンチしており、NFT向けの独自プラットフォームを持つ初の国有企業となったと言われています。
ユーザーの特徴
- ユーザー数:月間アクティブユーザーが 1億8,401万人以上
- 年齢層:34歳以下が93%(16歳~24歳が中心)
- 男女比率:視聴者の7割以上は女性
広告
芒果TV アプリでは、以下の2つの広告モデルに対応しています。
- コンテンツベースのカスタマイズ広告
- 直接購入が可能な標準広告
広告は視認性が高く、スキップ不可な広告フォーマットをサポートしているため、視認性の高い広告を配信することが可能です。
中国の動画プラットフォームの特徴とマーケティングインサイト
1. オンライン動画全体の特性
- 2024年6月時点でオンライン動画ユーザー数は10億6,800万人(インターネットユーザーの97.1%)
- ショート動画は、ユーザー数10億5,000万人に達し、最大のコンテンツタイプ
- 動画市場は「長尺・中尺・ショート・ミニドラマ」などコンテンツの尺により多様化が進行
2. ショート動画の特徴
- 抖音(Douyin)や快手(Kuaishou)などのプラットフォームが主流
- ユーザーの滞在時間・定着度が継続的に増加
- Eコマースとの親和性が高く、広告と購買の導線が直結
マーケティングインサイト
- エンタメ性と即時性を重視した表現が効果的
- TikTokモールの取引額は前年比85%増加など、購買行動に直結する導線が魅力
- 初期認知拡大、プロモーション向けに最適
3. 長尺動画の特徴
- Tencent Video(騰訊視頻)、iQIYI(愛奇藝)、Youku(優酷)などが主要プレイヤー
- コンテンツ数は減少(前年比▲6.8%)する一方、再生回数は前年比+35.1%と「量より質」重視へ転換
- AIGCを活用した制作・運用体制の整備が進行
マーケティングインサイト
- ブランドの深い理解・信頼形成に適しており、高関与商品と相性が良い
- プレミアム層への訴求や、知識・教育系コンテンツとの連動に有効
- 特定ジャンル(ドラマ・ドキュメンタリー・教育など)との連携で専門性を訴求可能
- AIの活用(AIGC)が活発。多くのプラットフォームがAIGC(AI Generated Content)を制作・配信に活用。(例:Tencent VideoのZenRender Engine、Script Analysis System)
さいごに
中国の動画市場は10億人超のユーザーを抱え、ショート動画やミニドラマ、長編動画など多様なセグメントが発展しています。企業がマーケティングで成果を上げるには、各プラットフォームの特性やユーザー層を理解し、目的に応じた戦略設計が不可欠です。特にAIやEC連携を活用することで、効果的な動画活用が可能になります。
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よくあるご質問(FAQ)
Q1. 中国で動画マーケティングは効果がありますか? |
はい。中国のオンライン動画の利用率はインターネットユーザーの97%以上に達しており、特にショート動画やミニドラマが若年層を中心に強い影響力を持っています。 |
Q2. ショート動画と長編動画、どちらを使うべきですか? |
ターゲット属性や目的によって選択するプラットフォームは異なります。ブランディングや短期的な認知拡大にはショート動画、信頼構築や深い商品理解には長編動画が適しています。 |
Q3. ミニドラマとは何ですか? |
短いエピソードで構成されるストーリードリブンな動画です。コストが低く、テンポが速いため、ユーザーの没入感を高めやすく、広告とも親和性があります。 |
Q4. 言語や文化の壁はどう乗り越えるべきですか? |
中国市場に精通した制作パートナーや、現地クリエイターとのコラボが有効です。現地の流行や視聴者特性に合ったコンテンツが重要です。 |
Q5. 動画マーケティングの効果測定は可能ですか? |
はい。主要プラットフォームでは再生数、エンゲージメント、CVRなど詳細な指標が取得可能です。特にショート動画はEコマースとの連動で成果測定しやすい傾向があります。 |
Q6. どのプラットフォームを選べば良いですか? |
TikTok(抖音)、Kuaishou、iQIYI、Tencent Videoなどが代表的です。ターゲット属性や目的に応じて使い分けが必要です。 |
2023年6月12日公開
2025年7月更新

吉田 真帆 マーケティング部 プランナー
コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括。オーストラリアの永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本8年を経て、現在はシンガポールからフルリモート3年目。