2025年 中国検索エンジンTOP5
~検索広告で成果を上げるための実践ガイド~
目 次
中国市場を狙う上で欠かせない施策の一つが「検索広告」です。
SNS や AI 検索の影響が語られる現在でも、ユーザーの購買行動に強く関わるのは検索行動であり、中国国民の情報の核となる中国検索エンジン事情を熟知したうえで、検索広告などを活用しタッチポイントを構築することが成功への近道です!
本記事は、今後、中国人向けプロモーションなどをご検討されている方に向けて、国内で唯一、5年連続Baidu 優秀代理店に選出されたこともある弊社が、中国向けデジタル戦略を考える際に必須の、中国の主要検索エンジン、検索広告について詳しくご紹介していきます。
2025年 中国の検索エンジン市場 最前線
2025年現在の中国の検索エンジン市場では、依然として「Baidu(バイドゥ)」が最大のシェア 52.75% を維持しており、「中国のGoogle」として不動の地域を確立しています。
近年では、検索サービスに留まらず、地図、ニュース、AI、クラウドサービス、自動運転といった他分野に展開し、世界有数のテクノロジー企業として認識されています。
<出典:Statcounter :全デバイス>
しかし今、注目すべき存在として急浮上しているのがMicrosoftの「 Bing(ビング)」です。
外国製検索エンジンが台頭することが無かった中国市場で、Bingはその常識を覆す勢いでシェアを拡大しています。2023年は14.7%、2024年は 17.5%とそのシェアは限定的でしたが、2025年5月時点で一気に 29.78% と大きくシェアを拡大。わずか2年で倍増するという急成長ぶりを見せています。
Baiduが市場の半数を占めている状況は変わりませんが、検索エンジン市場の競争環境は明らかに変化の兆しを見せており、Bingの”下剋上”ともいえる動きは、今後の中国デジタルマーケティング戦略を左右する可能性があり、競争の主役交代も視野に入る局面へと突入しています。
中国の人気検索エンジンランキング
1位 | Baidu |
2位 | Bing |
3位 | Haosou |
4位 | Yandex |
5位 | Sogou |
中国のデバイス別検索エンジンシェア
中国では、デバイスの種類によってユーザーの検索行動に大きな違いが見られます。ここでは、デスクトップとモバイルそれぞれにおける検索エンジンのシェア状況を比較し、どのプラットフォームでどの検索エンジンが支持されているのかを詳しく見ていきます。
1.中国の検索エンジン「デスクトップシェア」
2024年5月時点において、中国のデスクトップ環境で最も高いシェアを獲得しているのは、「Bing(cn.bing.com)」です。
検索エンジンのシェアは、ここ十年ほどのトレンドとして Baiduが主流でした。しかし、2021年後半ごろからBingのシェアが目に見える形で伸び始め、2023年には完全にトレンドが逆転。2024年5月からは Bing がBaiduを上回っています。
2.中国の検索エンジン「モバイルシェア」
2025年4月時点の中国の検索エンジン「モバイルシェア」です。デスクトップとは異なり、モバイル端末では Baiduの利用率が 67 %以上と、圧倒的なシェアを誇っています。
このようなデータからわかるように、中国向けデジタル広告の媒体選定において、ターゲットがBtoBなのかBtoCなのかによって検索広告戦略を変える必要があります。
3.中国検索エンジン「デバイスシェア」
以下は、2024年4月時点の中国で使用されているデバイス利用状況を示したものです。中国におけるデバイス別の利用率は、全体の 67% 以上がモバイル経由と、大半のユーザーがモバイルデバイスを利用しています。
2025年 中国で人気の検索エンジンTOP5
デジタル先進国である中国では、ユーザーがモバイル端末を使いこなしており、99.6%のインターネットユーザーが商品購入時に、何等かのウェブ検索を行っていると言われています。モバイル検索や音声検索の普及に加え、デジタル決済、AIでも中国は世界の最先端を走っています。
独自のデジタル文化が発達する中国のオンライン市場を攻略するには、中国の検索エンジンを理解することが重要です。この段落では、2025年中国で利用されている人気の検索エンジンの特徴と、それらを企業のマーケティングに活用する方法をご紹介します。
Baidu
Baidu(バイドゥ)は、2000年に設立された中国最大の検索エンジンで、長年にわたり高い人気を誇る検索エンジンです。Baiduアプリの月間アクティブユーザーは、6億7,000万人に達しており、一日あたりの検索回数は100億回以上。中国の検索エンジン市場では不動の地位を築いています。
特に中国語の言語処理技術は、GoogleのBERTを上回るとされ、世界の最先端と位置づけられています。さらに、近年では、金融テクノロジー、人工知能(AI)、自動運転、クラウドサービスなど様々な分野への拡大を目指しており、強力なインターネット基盤を持つ大手AI企業として存在感を強めています。
Baiduの一般的な使い方としては、検索したキーワードに関連するページが多く表示され、そこから徐々にテーマやキーワードを絞り、最終的に自分が最も求めるサイトにたどり着くという使い方が一般的です。
Baiduの検索結果は、入力さえれたキーワードに関連する情報を幅広く提供するのが特徴です。さらにBaidu検索では「情報を提供する」だけでなく、検索結果から実際のサービス利用につなげることに重点を置いています。例えば「バスの予約を取りたい」と検索した場合、Google検索では「バス会社の公式サイト」が表示されますが、Baidu検索では、購入や決済ページが直接表示される仕組みになっており、検索から即座にアクションへ移行できる設計になっています。
Baiduでのオーガニック検索を獲得するためには、これらを考慮したうえで、Baiduに最適なウェブサイトの作成とSEO対策が重要になってきます。
また、BaiduのSEO対策も独自の知識が必要です。Baiduは中国語の簡体字を使用するサイトのみをインデックスするため、中国語のウェブサイトがないと情報を表示することはできません。さらに、画像AIが採用されているため、画像のAltテキスト・メタデータが重要であったり、JavaScriptがうまく機能しないため、HTMLである必要があるなど、Google SEOとは異なる独自の対応が必要となります。
さらに、中国語のサーバーでホストされているウェブサイトが最優先されるため、プロバイダーライセンスを取得する必要があるなど、Baiduを最適に活用するためには知識・戦略が非常に重要となってきます。以下は、Baidu SEO対策のポイントをまとめました。
Point ① キーワード |
傾向:ボリュームが多く関連性の高いキーワードを特定し、ページを最適化する |
Point ② モバイル最適化 |
傾向:モバイルデバイスでのスピードとユーザーエクスペリエンスに最適化されたサイトを優先 |
Point ③ バックリンク |
傾向:中国語ドメインからのバックリンクを獲得するとランキングとサイトの信頼度が向上する |
Point ④ オリジナルコンテンツ |
傾向:高品質な中国語コンテンツを評価。重複コンテンツはペナルティを課せられる |
Point ⑤ ソーシャルシグナル |
傾向:Baiduランキングにソーシャルシグナルが組み込まれているため、ソーシャルメディアからのいいね、シェア、UCGはプラスの影響を与える可能性が高い |
Point ⑥ ページスピード |
傾向:ページの読み込み速度が早いほどスコアが上昇する |
Bing
Google や Yahoo! へのアクセスが制限されている中国において、利用可能な数少ない外国産検索エンジンが Microsoft が提供する「Bing(ビング)」です。先述したように、近年中国で急速にシェアを拡大しているMicrosoftは、20年以上にわたり中国で事業を展開してきた数少ないグローバル企業です。
しかし、中国におけるMicrosoftの歩みは決して順風満帆ではありませんでした。例えば、2019年は中国でのBingの利用が一時停止され、2021年にはMicrosoftが運営していた LinkedIn がアプリ閉鎖に追い込まれました。さらに、2022年には自動提案機能の推奨アルゴリズムが停止されるなど、数々の試練を乗り越えて現在に至っています。
―― なぜ、中国でBingの人気が高まっているのでしょうか?
Bingが中国で支持されている主な理由は、いくつかの要因があると考えられています。
まず、同検索エンジンが中国の検閲基準に準拠していて、「中国で最も検閲が少ない検索エンジン」として認識されている点が大きな理由の一つです。さらに、アルゴリズムやインターフェースの改善、中国企業との戦略的な提携なども利用者増加を後押ししています。加えて、2024年にはAI検索機能が追加され、豊富な検索結果が表示されるようになったことも、Bingの利用拡大を後押ししています。
近年、「Copilot」(※中国では未対応)が発表されるなど、話題に事欠かないMicrosoft。中国市場において確実に存在感を高めており、今後の展開から目が離せません。
360 Search(Haosou)
360 Searchは2012年にサービスが開始された中国の検索エンジンです。360 Searchはもともと中国国内で絶大なる人気を誇るアンチウイルスソフトを提供するQihoo 360という企業であったため、情報セキュリティに関しては他の検索エンジンよりも優れているといわれています。そのため情報リテラシー・情報セキュリティに敏感な特定のユーザーから根強い人気を誇っています。
中国ユーザーからの 360 Search へのイメージは、「安全・頼りになる・プロフェッショナル」などが真っ先に挙げられ、「個人で気軽に利用できるBaidu」と「企業等でも安心して利用できる360」といった使い分けがなされています。
サイバーセキュリティ重視の傾向はアルゴリズムにも反映されているようで、権威・信頼性の高いサイトが上位表示される傾向があると言われています。また、360 Search は競合が少ないため、他の媒体と比較しても有料広告のクリック単価が低くなる傾向にあるのもポイントの一つです。360 Searchで広告配信を行う場合、中国市場の検索トレンドを把握するために役立つ無料の市場トレンドツール「360 Index」も提供しています。
Sogou(搜狗搜索)
Sogouは、高度な言語処理能力技術を持つことで知られており、中国でも一定のシェアを獲得している検索エンジンです。Sogouは、言語処理能力が高く、音声認識技術に優れており、インタラクティブで直感的な検索体験を求めるユーザーから人気を獲得しています。
Sogouは2021年 Tencentの完全子会社となり、WeChat、QQ Browser・QQ Messengerのデフォルトの検索エンジンに採用されています。そのため、WeChat上の記事はSogouに自動的にインデックスされる仕組みとなっています。
中国では最新のニュースが Wechat上で発信されるケースが多いため、WeChatアプリ内検索に統合されているSogouを戦略的に活用することで、WeChatユーザーに向けた情報発信やアプローチが可能になります。
Shenma(神马)
Shenmaは中国の電子商取引大手「アリババグループ」とモバイルブラウザ「UC優視(UCWeb)」が連携して、2014年にサービスを開始した比較的新しい検索エンジンです。
創業当時からモバイル検索が主流となることを見越して、モバイル検索のみでサービスを提供しているという点は、他の検索エンジンとは異なる大きな特徴の一つです。モバイル利用が急速に拡大する中で、Shenmaはモバイル検索分野における重要なプレイヤーとしての地位を確立しています。
Shenmaは、検索機能とアプリストアの仕組みを組み合わせた独自の構造を持ち、商品ページへの直接リンクを含めた導線設計が可能です。この仕組みにより中国で急成長する電子商取引市場と連携した広告配信をが可能で、BaiduやBingとは異なる戦略を展開しています。特に、タオバオやTmallに掲載されている商品が優先的に表示されるアルゴリズムが組み込まれているため、Shenmaを効果的に活用するには、同プラットフォーム特有のモバイルSEO対策が不可欠です。
今後、中国国民のモバイル端末利用がより一般化するにつれ、Shenmaがさらに大きなシェアを獲得していくと予想されています。
よくあるご質問
Q. 中国ではGoogle検索は利用できますか? |
中国では政府のインターネット検閲システムにより、Googleをはじめ、Gmail、Google Map、YouTubeは原則利用することはできません。 |
Q. 2025年 中国で人気の検索エンジンはどれですか? |
2025年4月末時点における利用率が高い検索エンジンはBaidu、Bing、Haosouです。 |
Q. 中国人ユーザーは検索エンジンをどのような環境で利用していますか? |
中国では67%以上のユーザーが「モバイル経由」でインターネットを利用しています。 |
Q. 中国検索エンジンをマーケティングに利用すべき理由は何ですか? |
中国のインターネットユーザーは11億人を突破しており、その多くがBaiduなどの検索エンジンを日常的に利用しています。検索エンジン対策は大きなビジネスチャンスに直結します。 |
Q. AI検索が主流となると言われていますが、従来の検索エンジンを活用した広告施策はまだ効果がありますか? |
AI検索への対応は今後重要になると考えられますが、検索エンジンも引き続きユーザーの購買行動に大きな影響を与えている有効な広告チャネルです。そのため検索広告を活用した施策は今も十分に効果が期待できます。 |
さいごに
中国からの訪日観光客も増加するいま、中国をターゲットに海外マーケティングを進める際には、中国独自のデジタル事情を理解して、中国に適したマーケティング戦略を練る必要があります。
中国向けデジタルマーケティングは言語や文化、ネット規制、運営方法などさまざまな壁がある一方、8億人以上のインターネットユーザーに効率よくアプローチできる魅力的な市場です。今後、デジタル化社会が進むとともに、最前線に立つ中国のデジタル市場トレンドから目が離せません。
「自社に中国人スタッフはいないけど、マーケティングで中国市場を狙いたい」とお考えでしたら、ぜひお気軽にお問合せください!

吉田 真帆 マーケティング部 プランナー
コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括。オーストラリアの永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本8年を経て、現在はシンガポールからフルリモート3年目。