インゲーム広告とは?種類・仕組みを解説|
世界30億人に届く!海外マーケ施策の新たな選択肢
世の中に最初のビデオゲームが登場してから早50年。ゲームテクノロジーの発展によって、近年のゲーム市場の成長は目を見張るものがあります。
ハードウェアの進化によってスマホやコンピューター、VRヘッドセットなど、よりリアルで没入できるゲーム環境を実現しただけでなく、eスポーツ市場や Twitch などのゲームに特化したコミュニケーションツールが台頭するなど、超巨大市場へと発達してきました。今やゲーム内は、ユーザー同志のコミュニケーションの場の一つとして大きな影響を与えるまでに成長しています。
本記事では、インゲーム広告の概要からビジネスで活用できる広告の種類や特徴まで、世界で急成長を遂げるインゲーム広告の状況を掘り下げていきます!
目 次
インゲーム広告とは?
インゲーム広告は、ゲームをプレイするプレイヤーに対してゲームの開始前・中・後に表示させる広告のことです。
仮想看板、ゲーム内での製品の配置、埋め込み動画広告、ゲーム内にブランド独自の空間を制作するパートナーシッププログラム、ゲーム実況配信に対しての広告配信といった、さまざまな形式でプレイヤーに直接訴求を行うことができます。インゲーム広告では広告コンテンツをゲーム空間内に溶け込む形式で訴求することで、プレイヤーの体験を邪魔することなく、ブランドに対してポジティブな印象を残せることから、近年注目されている広告の一つです。
ゲーム広告の歴史は古く、世界で初めてバナー広告が誕生する47年前の、1978年にAdventureland(アドベンチャーランド)と呼ばれるテキストベースのゲームに挿入されたインゲーム広告から始まります。
テクノロジーが進化した昨今ではゲーム市場は急速に成長しており、2024年の市場規模は 1,877 億ドルに達し、2027年には2,133億ドルに達する見込みです。
グローバルな視点で見る!世界のゲーム市場概況
ゲーム市場の成長は、いくつかの要因がありますが、主にインターネットが世界的に普及したことでゲーム市場は急速にユーザーが拡大しました。
2024年には世界中のアクティブゲーマー(ユーザー)数が、34億2,000万人に達し、前年比 +4.5%となりました。特にモバイルゲームの成長は顕著で、2024年のユーザー数は28億5,000万人を突破、成長率は前年比+3.0% 、世界のゲーム収益の48%を占めています。2027年には世界のプレイヤー数は、37億6,000万人に到達すると予測されています。
この成長は、新興市場におけるスマホの普及とインターネットの拡大によるものです。
各国・地域別ゲーム人口の割合
ゲーム人口が最も多い地域は、東アジア、南アジア、東南アジア、オセアニアを含めるアジアパシフィック地域で、18 億人でゲーム人口の53%を占めています。次に多い地域は「中東+アフリカ」地域で、 5.59 億人に達し、全体の16%に上ります。
最も注目すべきは、中東+アフリカ地域のYoYです。前年比 +8.2%と他の地域を圧倒するユーザー数の増加を見せています。2023年から2024年も+11%以上の成長率でした。
DataReportalによると国別インターネットユーザーに対するゲーム人口割合は、以下の通りです。(16~64歳)
マーケティングインサイト
- フィリピン・インドネシア・タイ・ベトナムなどのASEAN諸国は、Z世代~α世代のゲーム参加率が非常に高く、SNS上での拡散力も強いのが特徴です。
- 南アフリカ、サウジアラビア、エジプトといった中東・アフリカ地域(MEA)の国々では、モバイル通信網の拡大と若年層人口の増加が、ゲーム普及の後押しをしています。
- 台湾・ギリシャ・メキシコのような市場は購買力もあり、ユーザーの要求レベルも高い傾向があります。
ゲーム広告を海外マーケティングに活用するメリット
インゲーム広告は、ユーザー体験を大切にしながらブランド認知やエンゲージメントを高めたい企業にとって非常に有効な手段です。インゲーム広告を海外マーケティングに活用することで得られる主なメリットについて解説します。
幅広いユーザーにリーチが可能!
ゲームユーザーは世界で30億人と言われています。圧倒的ユーザー数を誇る世界最大級のソーシャルネットワークFacebookと同じユーザー数です。
プレイヤーの属性は非常に多様で、地域・年齢層・文化的背景を問わず、あらゆる人々が日常的にゲームを楽しんでいます。また、ゲームはベビーブーマー世代からアルファ世代までをつなぐグローバルなコミュニケーションツールとしても機能しており、企業やブランドがユーザーと自然に交流できる理想的な接点を提供します。
広告回避されにくく、高い視認性を確保できる
ゲーム環境に溶け込ませる形で視認性の高い領域に広告を配信できるため、プレイヤーのユーザー体験を阻害することなく、自然な形でブランドとポジティブな繋がりを生み出します。
また、ゲームというインタラクティブな環境によって、プレイヤーの記憶に残る”体験”を提供することができ、ブランド認知度や想起率を高めることに役立ちます。
加えて、ゲーム広告はGoogle広告やSNS広告といった既に多くの企業が参入している広告と比べて、まだまだ競争率が低い広告チャネルです。そのため競合他社との差別化にもなります。
高いエンゲージメントとインタラクティブ性
広告にミニゲーム、クイズ、アンケートなどインタラクティブな要素を組み込むことで、プレイヤーを対話に引き込み、魅力的な体験を提供できるのもゲーム広告の大きなメリットの一つです。
ゲームの世界観に沿って広告が組み込まれるため、ユーザー体験を損なわずにブランド認知や想起を促進できます。
効果測定がしやすく、運用改善に活かせる
インゲーム広告では、表示回数やクリック率、滞在時間、視聴完了率など、デジタルならではの詳細な指標が測定可能なため、キャンペーンの成果を把握しデータに基づいた意思決定を行うことが可能です。
プレイヤー同士の影響力が強い
ゲーム市場ではプレイヤー同志の活発なコミュニケーションが特徴の一つです。
Anzuの調査によると、プレイヤーの51%が他人にアドバイスを行い、47%が他のプレイヤーに影響を与えていることがわかりました。また、購買力が高いことも特徴で、消費者調査会社Magidの調査によると、週に10時間以上プレイするプレイヤーは、ゲームをしない人と比べて約2倍ほど消費を行う傾向があることがわかっています。
インゲーム広告の種類
ゲーム広告の種類は、配信するデバイスやゲームによって異なりますが、スタティック(静的)広告・ダイナミック(動的)広告の2つに大きく分類されます。ここでは一般的に人気のゲーム広告の種類をいくつかご紹介します。
静的広告
静的な広告は、ゲーム内に実装される非インタラクティブな広告です。例えば、仮想看板やポスター、バナー広告、プロダクトプレイスメントなどで、静止画やロゴなどを活用して制作されます。このような広告は、スポーツ系、レース系などで人気の高い広告です。
ダイナミック広告
ダイナミック広告はリアルタイムで更新することが可能な広告です。あらゆる形状やサイズでゲーム内に配置され、プレイヤーがゲームを進めることで広告が変化するなど拡張性・柔軟性の高い広告です。一般的にCPMベースで課金されるため、企業のマーケティングキャンペーンに最適です。
また、広告の種類が多様に用意されていることもダイナミック広告が人気の理由です。
インタースティシャル広告
インタースティシャル広告は、ゲームが中断された時、休憩中などの自然な一時停止中に画面全体をカバーするように表示されるインタラクティブな広告です。
ネイティブ広告
通常のバナー広告と似ていますが、ゲームのストーリー環境に溶け込ませる形で表示させるため、コンテンツの一部として認識される広告です。
動画広告
ゲームのコンテンツに溶け込ませる形で表示させる動画形式の広告です。ゲーム内に登場する仮想テレビ画面で動画を流したり、ロード画面にゲーム内CMとして配信したりします。ユーザーが動画を視聴するとゲーム内で活用できるアイテムなどが提供されるリワード広告なども人気が高い広告の一つです。
ゲーム型広告(Advergames/Advergaming)
企業やブランド、製品などを宣伝するために独自にゲーム空間を制作する広告形式です。ブランドや企業は、ゲーム全体を通してブランドストーリーを伝えることができ、没入型エクスペリエンスを提供する最善の方法の一つです。受動的な広告とは異なり、プレイヤーの積極的な参加が必要となりますが、プレイヤーも通常無料でゲームに参加できて、ゲームを楽しみながらブランドや企業・製品に対してポジティブな感情を持つことができる戦略的なアプローチです。
近年では、VR (仮想現実) と AR (拡張現実) といった最先端のテクノロジーを活用することで、インタラクティブでより深い没入型エクスペリエンスを提供することができるようになっています。
<Magnum Pleasure Hunt>
海外で人気のアイスクリーム「マグナム」は、さまざまなブランドとコラボして、プレイヤーがチョコレートを探す宝探しゲームを作成しました。SNSで共有可能なこのゲームは瞬く間に拡散され、たった7か月で600万以上のユーザーが訪れたそうです。
<LEGO×Fortnite >
結論
ゲーム市場の拡大やVR/ARなどのテクノロジーの進化によって、ゲーム広告はより魅力的なブランドエクスペリエンスを提供できる重要なマーケティングツールへと進化しています。マーケティング戦略としてゲーム広告を取り入れるかどうかは、「マーケティング目標・ターゲットユーザー・予算」などを慎重に検討しましょう。
熱心な世界中のプレイヤーと繋がることができるゲーム広告に興味がございましたら、お気軽にご相談ください!
よくあるご質問
Q.ゲーム広告はどのような企業が活用していますか? |
食品、飲料、アパレル、化粧品、テック業界など幅広い業界で活用されています。特に、若年層〜ミレニアル世代をターゲットとするブランドとの相性が良いです。 |
Q.自社の商品やサービスが、ゲーム広告と親和性があるか不安です。 |
ユーザーの年齢層や関心事に合ったゲームを選定することで、BtoCに限らず、BtoBや地方自治体などでも成功事例があります。相性のよいタイトル選定が鍵となります。 |
Q.他のSNS広告や動画広告との違いを教えてください? |
ゲーム広告は“没入型”でユーザーとの接触時間が長く、広告ブロックを回避しやすいのが特徴です。また、エンタメの中で自然にブランド体験を届けられます。 |
Q.どのくらいの予算が必要ですか? |
静的なバナー広告で数十万円〜、リワード動画やインタースティシャル広告はCPM課金(千回表示あたり数百円〜)など、予算に応じてカスタマイズ可能です。ご相談ください。 |
Q.どのようなKPIを設定すればいいですか? |
認知目的なら視認率やインプレッション、エンゲージメント率。獲得目的ならCTRやCVR、ROIなどを設定するのが一般的です。 |
Q.効果測定はどのように行いますか? |
広告表示数、クリック数、動画視聴完了率、ゲーム内行動、Webへの遷移、CVなどを専用ダッシュボードやレポートで可視化可能です。 |
Q.長期的に見てインゲーム広告は費用対効果が高いですか? |
特にブランド認知・想起向上や若年層へのリーチでは高いROIが期待されます。繰り返しの接触と記憶への定着がしやすい点も利点です。 |

吉田 真帆 マーケティング部 プランナー
コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括。オーストラリアの永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本8年を経て、現在はシンガポールからフルリモート3年目。