“WeChat公式アカウント”とは?種類・特徴・比較表|
企業に最適な選択肢を探る
中国において「WeChat/微信(ウィチャット)」は、単なるメッセージングアプリを超え、SNS、ミニプログラム、決済、EC、行政サービスまでを統合した“スーパーアプリ”として生活インフラの中心に位置づけられています。
2025年、中国市場に参入する外国企業にとって「WeChat」は対応必須のプラットフォームです。その中でも、企業のマーケティング活動において重要な役割を果たすのが「WeChat公式アカウント(WeChat Offical Account)」です。
WeChat公式アカウントは、企業がユーザーと直接つながり、情報発信・ブランド認知・販売促進を行うための強力なチャネルとして世界中で活用が広がっています。
本記事では、WeChat公式アカウントの種類と特徴を整理し、企業にとって最適なアカウント選びのポイントを詳しく解説します。
目 次
中国マーケティングにおけるWeChatの重要性
WeChat(ウィチャット)はユーザー数 14億1,100万人を超える、中国で人気のソーシャルプラットフォームです。東南アジアや中国経済圏でも広く利用され、中国国外にも約一億人以上のユーザーを抱えており、中華圏コミュニティに欠かせない存在です。
WeChatの強みは、SNSにとどまらず 決済・検索・EC・コミュニケーション が一体化された「生活インフラ型プラットフォーム」であることです。
WeChatの検索機能を通じてユーザーは商品やサービスを見つけ、EC機能でそのまま購入ページへ進み、WeChat Payで即時決済まで完了できます。このシームレスな流れは、ユーザーにとってスムーズな購買体験を提供すると同時に、企業にとっても認知拡大から販売促進までを一貫して実現できる強力な基盤となります。実際に、WeChatユーザーの85%がプラットフォームを通じて購買行動を行っており、その商業的な影響力は計り知れません。
「WeChat公式アカウント」は、企業が消費者と直接つながるための入り口として機能します。情報発信や顧客対応の場となるだけでなく、アプリ内で商品販売や決済と連動させることで、認知拡大から取引促進まで一貫したマーケティング活動を展開できます。
- MAU(⽉間アクティブユーザー)14億1,100万人超
- 世界で5番目に大きいソーシャルプラットフォーム
- 中華圏コミュニティで広く普及
- 検索・SNS・決済・EC・コミュニケーションが統合
- WeChat Payの普及率 90%以上
- 検索機能:企業の認知度向上を支援
- EC機能:アプリ内で直接商品を販売でき、購買行動に直結
- ユーザーの85%がWeChatを通じて購買経験あり
- 海外企業にとって商業的影響力は絶大
「WeChat公式アカウント」とは
WeChat(ウィチャット)の公式アカウントは、企業やメディア、有名人、政府機関などが開設できるビジネス用アカウントで、中国国内ではすでに2,500万社以上が活用しています。目的は、顧客ロイヤリティの向上やVIP顧客の囲い込みといったCRM施策から、ブランディング、集客、プロモーションまで幅広く対応可能です。
公式アカウントを通じて、企業は友達のように一般ユーザーへ直接通知を届けられるほか、14億人超のユーザーを対象にターゲティング広告を配信することもできます。さらに、決済機能やEC機能と組み合わせることで、商取引までシームレスに実現できます。日本でいえば「LINE公式アカウント」に近い存在ですが、機能の幅はそれ以上に広く、マーケティングから販売までを一気通貫で行える点が大きな強みです。
公式アカウントの種類と特徴
WeChat公式アカウントには、以下の2つの種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあるため、特徴を把握したうえで、自社のビジネス目的にマッチした最適なアカウントを選択しましょう。
- サービスアカウント
- サブスクリプションアカウント
両方設定することも可能です。では、それぞれの詳細を見ていきましょう。
サービスアカウント(服务号)
中国本土での企業登録がなくても利用できるサービスアカウントは、サービスや製品のプロモーションや販売促進などマーケティング活動に最適なプランです。
このプランは企業マーケティングに必要な機能を多く揃えています。ユーザーとは友達関係のような形で繋がることができるため、フォロワーに対して高い確率で情報を届けることが可能です。
- コンテンツ配信:月最大4回まで。プッシュ配信が可能
- 公式カウントメニューの設置:商品ページへのリンク、カスタマサポートへの誘導、予約フォームなどを設置可能
- 顧客との双方向コミュニケーション:チャットメッセージに返信可能、自動応答機能の設定など
- ミニプログラム:自社ミニプログラムを作成・連携が可能
- WeChatPayとの連携:アカウント内で商品販売・決済が可能(条件付き)
- 広告配信:WeChat広告の配信が可能(承認済みサービスアカウントが必要)
コンテンツ投稿は月最大4回まで可能で、1回の投稿につき最大8記事を配信できます。配信内容はユーザーのチャット画面に直接表示されるため、高い閲覧率が期待できます。さらに、APIやJS-SDKを用いたカスタム開発、位置情報の活用、QRコードによるトラッキング、WeChat Payとの連携など、拡張性の高い機能も利用できます。カスタマーサポートやEC展開、パーソナライズされたサービスの提供を目指す企業に最適です。
サブスクリプションアカウント(订阅号)
サブスクリプションアカウントの最大の目的は、「ユーザーとのコミュニケーション」です。
- コンテンツ配信:一日一回、最大8記事をプッシュ配信が可能(オウンドメディア的運用におすすめ)
- メディア投稿:テキスト、動画、画像、リンク、簡易LPの埋め込みが可能(企業ニュース、コラム、キャンペーン情報など)
- 顧客との基本的なコミュニケーション:ユーザーへの返信が可能。また、自動返信が設定可能。
- カスタムメニューの設置:公式アカウント下部にナビゲーションメニューを作成可能、ECやキャンペーンページへの遷移
- 広告配信:承認済みアカウントであればWeChat広告が配信可能
- ミニプログラム:自社ミニプログラムを作成・連携が可能
コンテンツは毎日投稿でき、1回の配信で最大8記事を掲載可能です。投稿は「購読」フォルダに格納されるため目立ちにくい面はありますが、ニュース配信やオウンドメディア型の情報提供に強みを発揮します。情報発信力を高めたいブランドやメディアに最適なアカウントです。
WeChat公式アカウント比較一覧
以下は、サービスアカウントとサブスクリプションアカウントの比較表です。
サービスアカウント | サブスクリプションアカウント | |
---|---|---|
目的 | マーケティング&販売 | コミュニケーションとブランド認知度 |
業界 | 直接販売、顧客サービス、特に小売、電子商取引、ホスピタリティ | コミュニティの関与、費用対効果の高い大規模な視聴者へのリーチ |
業界 | B2B、B2C、製品、サービス | B2C、サービス |
WeChat Pay 統合 |
可能 | 不可 |
WeChat 広告 |
可能 | 可能 |
広告分析 | 可能 | 可能 |
配信 | 月4件の投稿 (1件あたり最大8記事) |
1日1投稿 (1投稿あたり最大8記事) |
プッシュ 通知 |
可能 | 不可 |
API統合 | 可能 | 不可 |
CRM統合 | 可能 | 不可 |
サービスアカウントから配信された記事は友達からのメッセージ(通常のチャット)と同列で表示されます。一方でサブスクリプションアカウントはサービスアカウントとは違い、友達と同列ではなく「購読フォルダ」内に一括して配信され、情報を取得するまで一階層深くなっているので、サービスアカウントと比べるとプッシュ(通知)力は弱くなります。
また、サービスアカウントは記事が配信されるとプッシュ通知、アプリアイコン通知の表示があるのに対し、サブスクリプションアカウントは通知がありません。
このようにサービスアカウントと、サブスクリプションアカウントでは、機能が大きくことなるため、企業の公式アカウントを開設する目的を明確にしてから開設することをおすすめします。
公式アカウントに必須な“認証”
公式アカウントを開設した後、アカウント認証という手続きに入ります。この承認がない場合は、WeChat広告やミニプログラムなどの利用が制限されるため、WeChatをビジネス活用するためには”必須”です。
承認プロセスは2~4週間ほど時間がかかります。アカウントが認証されると、アカウント名義の左側にチェックマークがつきます。
認証済み公式アカウントは、検索時に上位に表示される傾向があり、9つのAPI機能※とWeChat Payが利用できます。また、ユーザーからの信頼度も上がるため、多くの企業が認証アカウントを運用しています。
結論
WeChat(ウィチャット)を最大限活用するにはまず、中国マーケットへ向けて何がしたいのか、WeChatを活用して、顧客にどのようなアプローチしたいのかなど、「アカウント開設の目的」を明確にすることが重要です。また、WeChatからの情報発信というのは、日本のLINEのようなコミュニケーション型の情報発信とは少し異なり、しっかり作りこまれた情報充実したコンテンツ配信の方が近いイメージです。
まずは「WeChat公式アカウント」を取得し、中国人ユーザーのフォロワーを獲得、そして有意義なコンテンツとして情報配信することが中国マーケットで成功する最初の一歩です。

吉田 真帆 マーケティング部 プランナー
コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括。オーストラリアの永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本8年を経て、現在はシンガポールからフルリモート3年目。